◆脳のことをできるだけわかりやすく書き残しておきます。その4、脳が勝手に想像を発展させる?

脳の自己組織化とは、或る目的にそって、脳が自動的にそれを発展させていくことです。

自分の中で疑問が起きたり、何かアイデアを探している時に

それを脳がどんどん自動的に進展、発展してしまう、ということです。

それも自分の知らない間に…苦笑!

脳が勝手に<解>を求めて記憶を編集したり、

また飛躍させたりして、最後のつじつまを合わせていきます。

その脳が勝ってに(自動的に)脳内において発展させたり、

解を求めて進化させたりしていることを

私たちは意識できないのです。

これはね、いい方向に使うと、自分の脳が

素晴らしい発見やアイデアの宝庫となります。

例えば皆さんもきっとこういう経験があると思います。

自分が考えていることで、答えが出ていない場合や、答えを探している場合など、

しばらくしてから、突然答えがひらめくときなど。

また、考えがまとまらなくて、それを放置して何日かしたら、

忘れた頃にフッと考えや言葉が浮かんできたりと。

そういう時は、無意識の領域で脳が勝手に(自動的)作動して、

その人の求めている答えや、アイデアを捜し、

記憶を連鎖させたり、時に飛躍させたりして、

答えや、ひらめきを出してくれるのです。

基本は、不安定になっている状態から安定した状態へと

脳が勝手に物事を整理し、整えていくことです。

それがいい方向に働くと、素晴らしい直観がひらめいたり、

私などは、文章が上から下りてくる感じです。

ところが同じようでも悪く働くと、

自分のあまりよろしくない思いこみも、

脳が勝手に思い込みを発展させたり、進化させてしまうのです。

例えば「幽霊の正体見たり枯れ尾花」という諺がありますが、

これは本当は枯れたススキなのに、

それを幽霊と思い込んでしまう、という

事です。

前回脳の思いこみが進展していく例えとして

もしかしたら○○かもしれない・・・から

多分○○にに違いない・・・から

きっと○○だ。という風にそれを確信していく、ということを

お話しましたが。

ほんとうは、不確かなことでも、それを脳の想像力を自己組織化して、

信じこんで行く方へと導き、段々それが本当であるかのように

思いこみを定着させてしまうのです。

オーム事件の青年達も、はじめは教祖のいうことを信じなかったかもしれせん。

教祖が言うような死後の世界など、あるわけがない、と

思っていたかもしれません。

ところが自分達の知識が足りなかったり、経験がないと、

そのすきをついて教祖に論破されたりすると心が揺らぎだし(不安定になり)

もしかしたら、教祖の言う通り、

死後の世界があるかもしれない・・・という考えがふっとよぎり、

それまでの自分の確信が揺らいでいったかもしれません。

そういえば○○の時、そういうようなことがおきたなあ~・・・とか

もしかしたらあれはそういう死後の心霊現象だったのだろうか・・・・とか

そういう事がどんどん脳の中で本当のことのようにすり替わっていきます。

それが進むと、いわゆる信じ込むという現象がおきてきます。

そして本当に怖いのですが、信じこみ現象がすすむと、

普通に考えたら、あり得ないことを、

まるでそれが真実であるかのように、思い込むのです。

単なる枯れたススキがそこに生えているだけなのに、それがまるで

本当の幽霊がでているかのように信じ込むのです。

この事は心理学の言葉でフォースメモリー(虚偽記憶)ともいいます。

つまり、本当は何もおきていないのに、まるでおきているかのような錯覚をして

それを信じこんでしまうのです。

そしてそれを見てきたかのように他者に話します。

話す時は、どんどん話を脚色したり、またアレンジメントをしたりして

話す自分も、それを聞いている相手に対しても、

真実であるかの説得性を持って話すのです。

本当に残念ですがオーム事件の青年たちは、脳のそのトリックにはまってしまい

取り返しのつかない事件で、人生が崩壊してしまいました。

彼らは教祖のいう

死後の世界を成就させるために人間の命を奪うという、

どう考えても非合理な世界を本気で信じこんでしまったのです。

若いというのは、こういう危うさがあるのです。

その事件のあと、しばらくは

そういうオカルト的なものが息をひそめていたにもかかわらず、

しばらくするともう、テレビでは霊能者とか超能力が、

再びブームになっていきました。

本当はありもしないことを、みてきたかのように嘘をつく。

しかし嘘をついている本人は、嘘をついている自覚がない。

立花隆さんの著書「死はこわくない」(文春文庫)の中で

ノーベル生理学・医学賞を受賞された利根川進博士は、

「脳が高度に進化した結果、人類が豊かな想像力を獲得しました。

 しかしそれとともに、フォースメモリーを作る危険まで、

 背負いこんでしまった」と述べられています。

立花隆氏も

「人間が、これが真実だと思い込んでいる相当部分が、

 実は自分のリアルな記憶と学習記憶や、

 文化や文明が与える思い込みやらで合成された

 フォースメモリーのかたまりである可能性があるということです。」

と書いておられます。    

どうでしょうか。

人間の脳のすごさとその反面の怖さと言いますか。

私たちは自分の思い込みについても、信じ込んでいることについても、

常に冷静に、客観的にそれを見つめなおしたり、検証することが

とても大事だと思います。

さらに妄想をもてあそんだり、

安易に異次元や異世界を信じることの

恐ろしさを思います。

今そういう風潮がはやっていることを、ちょっと不安に思います。

そして特に若い人たちは、

前頭葉が成熟するには、時間も年月もかかるということを

肝に銘じおいていただきたい。

まずは、生きることは、

わからないことや、答えが出ていないことだらけであると

いうこと。

そして、焦らなくても、人生は

・年齢とともにさまざま事象の実相や実像が

見えてくるということ。

さらに

・科学知識の世界も学んで欲しいと思います。

思い込みでもなく、妄想でもない、仮想でもない、

厳しい現実としっかり向き合い、

手ごたえのある自己世界を築いて欲しいと

思います。

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この記事を書いた人

作家。映画プロデューサー
書籍
「原色の女: もうひとつの『智恵子抄』」
「拝啓 宮澤賢治さま: 不安の中のあなたへ」
映画
「どこかに美しい村はないか~幻想の村遠野・児玉房子ガラス絵の世界より~」

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