◆田下啓子遺言・真艫の風そして、どこかに美しい村はないか。その3、変えてはいけないことをしっているので、すべて変えることができる

今回は、その会社(企業)が根源的社風(アイデンティティー)として

何を思想化しているか、について田下が書いています。

●変えてはいけないことをしっているので、

すべて変えることができる。

     〇 〇 〇

会社に限らず、どんな組織や集団においても、求心力を維持するためには
共通の価値観や行動規範を持っていることが必要である。

この場合、明文化された企業理念や就業規則はいわば、
氷山の一角で、

暗黙としての企業文化や組織風土(DNA)のほうが
力をもっていることが多い。

また明文化されたものは「建前」で、
「本音」は別のところにあるのは、よくあるケースだ。

いずれにしても、それが組織の構成員の「心のよりどころ」になり、
組織は円滑に機能する。

例えば、当社の企業理念を表す重要なことば「ミッション」は次の通りである。

   私達の使命はお客さまの事業を総合的に支援し、
   事業の成功に貢献することによって
   その先にいる生活者を豊かにし、
   しゃかいの公正な発展に寄与することです。

BtoBの事業を行っている会社なら、どんな会社の理念としても通用しそうな言葉だ。
ただ違うのは

当社においては、本音も建て前も、表も裏もなく、

言葉の意味するところを100%、まっとうしようと考えている事かもしれない。

「類は友を呼ぶ」。価値を共有できる人が集まり、違和感をもつ人はふるい落とされる。

かくして組織の暗黙知は継承され、意識されない組織風土として
その会社の伝統になり、個性(アイデンティティー)になる。

企業理念を表す言葉は似通っていても、企業文化や組織風土は
会社によってすべて異なると言っても過言ではない。

理念をあらわす言葉は簡単に剽窃することができるが、
企業文化や組織風土を真似することは至難の技だからだ。

したがって、こうした企業文化や組織風土を変えるためには、
相当の時間とエネルギーを必要とする。

言葉を変えたり、制度を変えるだけでは変わらない。

なにしろ、構成員が当たりまえだと思っていることを変えるのだから、

様々な抵抗が発生する。

下手をすれば本音と建前の使い分けが始まる。

また、
組織の求心力を形作る価値を否定することだから、

組織が崩壊する危機にさらされることさえある。

「変えてはいけないこと」と

「かえなければならないこと」のバランスは

ことほどさようにむずかしい。

○〇〇〇の49年の歴史を振り返ってみよう。

※(○〇〇〇、は会社名です。
ちなみこの会社はマーケティングリサーチの会社です。)

○〇〇〇の現在のDNAを形成したのは、
1960年の創業からの10年と1974年の労働組合の結成、そして
その後に続いた数年間の経営危機の時代であると考えている。

1960年代の○〇〇〇を知る人は当社からいなくなったが、
確実に引き継がれている価値規範がある。

①データーの品質と装置に対するこだわり
②情報の価値創造への希求
③新規事業への積極的な投資

中略

1974年の労働組合の結成によって大きく変わったのは

会社の成長のために社員を犠牲にしない、という

新しい規範が確立したことである。

会社の利益と従業員の生活を、対立概念としてとらえるのではなく、

従業員の満足。自己実現があって初めて、

会社の持続的な成長が可能になるというパラダイムに転換しただ。

中略

そして会社がよみがえった。

当社のDNAに「突然変異」がおきたのは、
この暗いトンネルの時代であったのではないかと思う。

組合設立の後に続いた暗くて長いトンネルを潜り抜けることによって
志を共有できない人はふるい落とされ、
きわめて純化した形で、現在につながるDNAが結晶したのだと思う。

私が「ひばりが丘の軌跡」と呼ぶ出来事である。

   ●言わせてもらいますけど、このトンネルの間中、
   私はなんと苦しかったか・・・トホホ!…タオリケイコ

給与水準も少しずつ改善されはじめた1984年、
組合結成10周年を記念した冊子が発行された。

すでに幹部職になっていた私も請われて寄稿することになった。

手書きで発行された冊子に掲載された私の原稿のタイトルは
「○○〇〇、ユートピアの夢」。

こういう会社にしたいという思いを
「ユートピア」という言葉に込めたのである。

「ユートピア」にふさわしい会社の条件をいくつか書いたが、
つまるところ

「人間がもっている素晴らしさや可能性を信じ、

それを実現できる会社を作りたい」ということだろうか。

「変えてはいけないこと」と「変えなければいけないこと」という

「二項対立」を解くカギは

「変えていけないこと」の中に、

変革の論理をもつことである。だから

私のメッセージは、

「変えてはいけないことを知っているので、

 すべて変えることができる」となる。

これからも、「ユートピア」という見果てぬ夢を追いかけることを続けることを

変えないので、

あらゆつ可能性に挑戦し、変革のスピードを緩めることをしないつもりだ。

      〇 ○ 〇

以上です。

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この記事を書いた人

作家。映画プロデューサー
書籍
「原色の女: もうひとつの『智恵子抄』」
「拝啓 宮澤賢治さま: 不安の中のあなたへ」
映画
「どこかに美しい村はないか~幻想の村遠野・児玉房子ガラス絵の世界より~」

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