それは半沢直樹の中に一貫して流れる<念>である。
つまり怨念とか執念とかで、ドロドロとした感情がまとわりつく。
だからこそ、半沢は土下座が裏テーマにもなってしまっている。
半沢君が、社会から、或いは大和田常務から受けた傷が、
疼くのである。
しかし大門美知子には、そういう<念>は一つもない。
ないどころか、そういうものはくだらないと彼女は考えている。
自分の父親の診療所を潰した毒島(伊東四朗)でさえ、
彼女は懸命にその命を救った。
そういうあっけらかんさが「ドクターX」を秀逸で超面白いドラマにしている。
もう一つの特色は、
美知子さんは手術の後に大量の<ガムシロップ>を飲むことにある。
それは極度の緊張と集中を強いられたあとの脳のケアとして
<ガムシロップ>を飲む。
私が関心するのは、大門美知子の脳の使い方である。
以前にも書いたが、脳の中は散らかしすぎると、脳力は分散してしまい、
結局低レベルの能力(脳力)しか発揮できない脳になる。
脳学者の中には、あれもこれも何でも食いつけ、と言う人もいるけれど、
私の独断と偏見と,長い人生経験でいうと、それは間違いで、
自分の中に才能を見つけらた、それに集中して、他を捨てないと
才能は優れたものや、研ぎ澄まされたものには、ならない。
その観点からいうと、すべてが手術に収斂される脳をもつ
大門美知子先生はすごい外科であるので、ある。
残念ながら、このことは.
自分の脳世界を一本に極めた人にしか分からない。
また反対に,
なぜか、自分が一本に突き抜けられず、
いつも中途半端なレベルで止まってしまうのを悩んだ人には
分かってくる。
勿論私は後者のほうです…笑!
本当は人間は、自分の使命感以外、何もいらないのである。
その一本を突き抜けていくと、そこにはまさに
<晴天(青空)>が現れる。
※大河ドラマ「青天を衝け」の脚本も演出も、
そこら辺を理解できていなかった気がするよ。
つまり、半沢君は、まだまだ曇天の中、これからも、
念に纏いつかれて生きる、というわけですな。
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