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サッサと捨てて、シンプルに生きるその5、Aさんへの返信!

Aさんへ。お手紙拝読し、胸が痛みます。

大変でしたね。

こんな大変な中、よくぞ精神に変調をもたらさずに

貴女がここまで生き延びてくれたことを

神に感謝せずにはいられない。

さて、

すべては、貴女の脳の中で起きているのです。

つまり貴女の中に刷り込まれ、

植え付けられ、

そして思い込まされたことが

貴女を苦しめている。

だから、貴女を幸福にする、或いは、

貴女がスムーズに生きることを妨げているものを

ぜんぶ、捨てましょう。

ぜんぶですよ。

なぜなら、脳の神経細胞は記憶をベースに作動するからです。

貴女の記憶が連鎖、連動、連結して、脳の中を思想化しているからです。

だから今までの自我の思想や価値観全部をすてて、

新しく生き直さないとダメなのです。

そしてこれも、心得ておいてほしいのですが、

脳の中は生物的、即物的であり、

脳の中にはいわゆる人間の思想やヒューマニズムやデモクラシーや

倫理や道徳や正義などで動くのではありません。

それも人間が作り出した思想(観念・思い込み)なのですからね。

もしあるとした、倫理や、道徳や正義やヒューマニズムや

貴女が感動した、という感情の記憶と、その高揚体験の

体感的衝動記憶です。

前回書いた<脳のアルゴリズム>ということを思い出してください。

脳は、その生命体を生かすため、

或いはその生命体の保全のために、

その生命体が直面したことを、

いかに解決するか(アルゴリズ)を捜して神経細胞が発火していきます。

例えば極論ですが、

もし貴女が他者を攻撃することで、貴女がスッとし

貴女の感情と身体が、心地良さを感じたならば、脳は、

この生命体は(貴女は)これをすると、安定するのだな、と

そこにアルゴリズム(解決法)をを見つけてしまうのです。

だからその反対も言えます。

他者を救うことに快感や喜びを感じてしまうと、

そこに自己犠牲のアルゴリズムが生まれ、

その人はメシア症候群になる、というわけですね。

宮澤賢治などはその典型ですね。

つまり、私たちは、どれだけ自分を否定する

感情のアルゴリズムをもっているか。

逆に、どれだけ自分を肯定するアルゴリズムを持っているか

その人の生き方の<綾>ができていくのです。

勿論そのアルゴリズムの中には自分が感動した思想や観念も相対として、

対象にはなりますが。

ただね、自分がどういうアルゴリズムをもっているかを知るには

自分の自我の在りようを、しっかり相対化しなければなりません。

この相対化ができるか、どうかが重要なことなのです。

自分の自我の世界全部を相対化しうるためには、

自分という人間を洗いざらい、正直に、

厳しく検証しなければなりません。

人はそれが,それが辛いのですよ。

それはもしかしたら、

その中にある自分の醜い姿をみなければならないこともあり、

それを受け入れたくないと自己防衛の自我がはたらきますから、

どうしても自分に都合の悪いことは、見つめたくないのです。

自分が敗北感を感じたくないのです。

しかし

しかしそれとは別に自分の自我を相対化しようという

貴女の高い知性があることも大きく評価しなければなりません。

自我を相対化するとは、まさに理性と知性の世界です。

今回お手紙を拝読し、貴女はいかなる苦悩の中でも、自分の高い知性を磨き、

高次なる理性を用いてきたからこそ、

自我の中のネガティブな世界を相対化し、

その結果自我の汚れや腐敗から逃れたのですよ。

これからすべきことはまずは

ぜんぶすてる。

これまでの記憶の連鎖と連結をいったんご破算にするために

まずは全部捨てる。

つまり

今までの自分を捨てて、

新しく生き直すということです。

今度は自分の意志と決意と愛情をもって

人生を創造していくのです。

そのために今度は

自分の人生にたいせつなことのみを

しっかりと、拾いなおす。

貴女にはできますよ、

これだけ厳しく自分の生き方と人生を検証したのですから、

その高い知力と教養を以て、

もう何を捨て、何を拾うかはわかっていると思いますよ。

ただね、いったん脳の中でシステム化してしまった

負のアルゴリズムはなかなか消えません。

手ごわいです。

次回、それにどのように対処していくかを書きます。

可愛いね!

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この記事を書いた人

作家。映画プロデューサー
書籍
「原色の女: もうひとつの『智恵子抄』」
「拝啓 宮澤賢治さま: 不安の中のあなたへ」
映画
「どこかに美しい村はないか~幻想の村遠野・児玉房子ガラス絵の世界より~」

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