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脳の使い方、その5、沈黙は金

私がお伝えしたい「沈黙は金」というのは、

うかつに喋らない、という事でもなく、

沈黙して自己防衛しようと言う事でもない。

●脳のタイムラグが熟す迄、

事態や事の成り行きをみまもる時間(沈黙)を持つ、と

言う事です。

今はデジタルが優先されて、変化することに追いかけられているが、

じつはアナログの中でじっと全体を見渡し、全体がじっくりと熟して変化するのを待つ。

そこにこそ、優れたものがある。

司馬遼太郎さんと劇作家の山崎正和さんの対談で<情勢の変化>を待つと言う事が

語られていた。

<情勢の変化>を待ち成功したのが家康で、待てず失敗したのが、徳川慶喜だと。

もうひとつ、待つことの凄みを

教えてくれたのが、最近見た池井戸潤作のドラマ「ノーサイドゲーム」です。

そこにでてくるのが、

廣瀬俊朗さん演じるラガーマンの、浜畑譲です。

彼は情勢の成り行きをジーッと見守りながら、沈黙を続ける。

そして最も自分が為さなければならない事だけを、

ほぼ無言に近い行為でやる。

驚いたことに、廣瀬俊朗さんは、俳優でもなく、

全日本代表のラガーマンだったそうな。

しかし、その演技は素晴らしかった。

彼はきっと、沈黙すると言う事の重さや価値を分かっているのかもしれませんね。

沈黙するということは、

相手を信頼して待つ、ということでもあります。

勿論、その前には、自分への

全幅の信頼がある、って事ですね。

     ○

脳にはタイムラグがあり、

それは、数秒、数時間、そして数日、数年の中で、

脳内現象が熟して行く。

言葉が熟するまで語るな、と書いたミハエル・エンデもまた、それを知っていたにちがいない。

軽薄に動くな。

頭を高速回転させないで、

情勢の変化を待つ。

それは、最も脳を有効に使いこなす事でもある。

      ○

そして、つい最近まで、私たちは自分の脳の10%くらいしか使っていないと言われていましたが、

それは脳神経のニューロンのことであり、残りの90%は、

グリア細胞だと言う事が分かってきました。

これまでは、グリア細胞は、ニューロンの働きを補佐するように思われていたのですが、

最近の研究では、

記憶や学習においても高次の働きをし、記憶量が増えるとグリア細胞も増えることがわかってきました。

つまり、グリア細胞は脳のアナログ的世界に関係があるらしい。

ニューロンのデジタル情報がグリア細胞のアストログリアにより

アナログへと調節されると言うことらしいです。

常に全体を見回し、事が熟す迄待ち、じっくりと考えるアナログ世界こそ 

大切な脳機能であり、

沈黙は金なのです。

今の時代はまさにデジタルが幅をきかし、

スピードや効率が良い様に思われがちですが、

何はともあれ、  

ゆっくりと落ち着いて、

ことを成してゆく、という

昔から言われている、

最も当たり前のことこそが、

賢い脳の使い方って言うことですね。

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この記事を書いた人

作家。映画プロデューサー
書籍
「原色の女: もうひとつの『智恵子抄』」
「拝啓 宮澤賢治さま: 不安の中のあなたへ」
映画
「どこかに美しい村はないか~幻想の村遠野・児玉房子ガラス絵の世界より~」

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