30代によく読んだのがドイツ文学者高橋義孝先生のエッセイです。
高橋義孝先生はあの内田百間先生の一番弟子?、です。
まあ、この二人がふざけてるというか傑作な人間達で、
ユーモアタップリに描かれるそのエッセイを,私は愛読していたのです。
その義孝先生のエッセイのある一行が、私の頭にこびりついており、
事あるごとに私を律し鼓舞します。
それが「旗をお立てなさい」という一行です。
その一行は、作家藤枝静雄に聞いたエピソードとして書かれています。
藤枝静雄は硬派の作家ですが、今の人は余り知らないかもしれませんね〜。
その藤枝静雄のところへある俗文作家が尋ねてきて、
自分は俗文から抜けて純文学へと転向したいが,どうしたらいいか、と訊ねます。
その時、藤枝静雄が言ったのが、
「旗をお立てなさい」という言葉です。
世俗にまみえず、世俗に埋もれず、
世俗に忖度、迎合せず、
たとえ孤立しようとも、
雨風に晒されようとも、
パタパタとはためく唯一無二の旗。
自分はこうだぁ、と明示して
シャンと立ち尽くす旗。
凛々しく、誇らしく、
自分の旗を、
立ててご覧なさい、と。
○ ○ ○
インテージの皆さんへ、
インテージも、これからは、
さまざまな世俗の風に晒され、
時代の荒波に立ち向かわなければならないでしょう。
そこには見えない敵もいて、
それらとも、戦わなければなりません。
だから私は,
インテージも旗を立てて欲しいのです。
本当はね、旗を立てるのはリーダーの仕事です。
しかし、もし、そのリーダーが
旗を立てる事ができなかったら、
社員みんなで立てて欲しい。
社員みんなが心と力を合わせて
旗を立てる。
○ ○ ○
インテージの旗(アイデンティティ)は、
あの苦しかったブラック企業時代での戦いにあります。
その戦いの中から生まれた旗(アイデンティティ)は
・自由に発言できること。
・社員を大切にすること。
・男女差別撤退への強い意志を持つこと。
・会社の成長の為に社員を犠牲にしない会社になること
(以上真艫の風より抜粋)
それは、
従来の企業文化を打ち砕き、
新しい企業文化を風土に持つ、
人間の尊厳に基づいた会社、
インテージの誕生でありました。
その後も、
莫大な借金を背負いながらも、
懸命に力を合わせて働き、
ポスシステムを完成させ、
世界のニールセンに打ち勝ち、
日本1,世界10位までなし遂げた
それが、
インテージのアイデンティティ(旗)です。
あのチョーブラックな経営者と
その取り巻きの第二組合を打破して、
まともな労働環境と報酬を勝ちとったのは、
社員みんなで力を合わせたからです。
だから憲雄氏は、
会社はみんなのものであると言いました。
普通の会社にありがちな、
出来るとかできないとか、数字を出すとか、出さないとかいう、
そういうケチな人間査定ではないのです。
さまざまな社員の、
さまざまな力と才能と、
その意志と気概が合わさったのが、
インテージの礎です。
その底流にあるのは、
人間の尊厳と知性が、
高らかに旗めくインテージの文化となり、
どこから見ても,誰が見ても、
一目で分かる
明確で揺るぎない
インテージの姿です。
社員の全員が、その際立つ旗の基に一丸となり。
高い品質と、
お客様の熱い信頼に満ちた商品を
作り出す。
単に商品を作り出すだけではなく、
その会社の在り方が、その理念が、
そしてそこで働き生きる社員の姿こそが
どこにもない価値と役割だと、私は思います。
もしTOBを企てられたとしても、
簡単には手を出せない会社になって欲しい。
あの会社は、
社員が結束して一筋縄ではいかない
難しい会社だ,と言われ、
あの会社をランするには、相当の頭脳と手腕が必要で、更には、
あの会社の経営者は、
社員からその人間性と品格が厳しく問われ、
それを熟知していない者は、
悪戦苦闘するだろうという風に。
お金では買えない、
インテージの神がかった力がある。
厳しく聳え立つような社会的な評価が、
マネーゲーマーから敬遠され、
また、困難な問題も、
社員達全員のパワーで乗り越えてゆく逞しい会社。
そのような会社を,作り上げてほしいです。
そのために、高く気高く、
凛とはためく旗をインテージの先頭に、掲げて欲しいのです。
○ ○ ○
どんな事が起きても、
どんな時代であっても、
あの荒波、あの高波、
あの大風の中を、
白く大きな帆を掲げ、
後ろからくる追い風を真艫にうけて、颯爽と前へ進む。
それが
知の会社、インテージです。
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田下啓子
1日 ·
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