人間は欲さえ抱かなけば、なんて素敵で楚々とした世界に生きれるか。
とこういう私も残念ながら、
どっぷりと物質文化に浸かりこみ、
◯
今回吉塚公雄さんの本「ひと草楽薬」を読み、4年前に見た吉塚さん一家の映画「山懐に抱かれて」のDVDを、
ふたたび見返してみた。
映画「山懐に抱かれて」は
岩手県田之畑村の山の傾斜地で山地酪農を実現し営む一家の24年の記録です。
山地酪農とは、猶原恭爾博士の提唱する酪農法で、
搾乳のために牛舎に入る以外、
牛は全く野外で過ごし、
自然のままに生きる牛の
酪農である。
牛は自然の草や木の実を食べ、
自然の悠久の中で、
冬の雪の中も、雨嵐の中でも、また彼らの出産も死も、
全てが自然の流れるままに牛が生きる酪農である。
映画を見た後私はさっそくその牛乳を飲んだ。
甘く、濃く、まるでアイスクリームを飲んでいるようでありました。
こんな美味しい牛乳はなかなか手に入らない!
なぜこんなに美味しい牛乳が世の中では出回らず、
ガチンガチンに加工され、
味も栄養も落ちたものが出回るのかは、
それはひたすら流通の都合と、乳業大手メーカーの
かなり身勝手な都合によるものです。
本来ならあり得ない牛乳の大量生産と、
濃い牛乳を作るために草ではなく、配合飼料を食べさせ、牛舎で飼育する不健康な酪農が、
なかば酪農家に押し付けられるように日本では推進されました。
その結果超高温殺菌の牛乳が主流に販売されていますが、
もはや牛乳としての栄養価が極端に落ちてしまっている事を、ほとんどの消費者は知りません。
私が30代のちょうど子育ての真っ最中の頃、ある知り合いの方から、子供には低温殺菌の牛乳を飲ませるようにと教えて貰いました。
その時の彼女からは、高温殺菌の牛乳は栄養が壊れて殆ど水と脂肪だからね、とかなり極端な事を言われた記憶が有ります。
おかげで我が家の子供達は、学校給食以外、家ではずっと低温殺菌の牛乳を飲んでいました。
消費者の、安くて長持ちする牛乳を買いたいニーズも裏返しに作用して、
高温殺菌され、人工的、化学的に加工された牛乳、つまり牛乳は、
どんどんその自然性を失い、工業製品にされていったのですね。
それは牛乳だけでは有りません。
日本の戦後は、いつの間にか、
ありとあらゆる食べ物が、
工業製品になるという道を爆進していきました。
食べ物は化学薬品でどんどん薬漬けになり、
便利とか手軽という名のもと、
自然から疎外されたまがい物が氾濫していきました。
戦後の大消費文化は、
私自身を含め、何か大切なものを失ってしまいましたね。反省します。
吉塚さんの山地酪農も、菊池陽佑夫妻の自然栽培米も、
現代においては、
自然の食べ物を食べるということの
最後の砦ですね〜。
ただもしかしたら、ここから始まりかもしれません。
もし人々が、その事に気づき始めて、ホンモノの食べ物を求めだしたら、です。
私としては、本当は、この牛乳やお米こそ、皆さんに食べて欲しいのですが、
やはりコストが高い分価格も高くなります。
しかし決してセレブの食べ物ではないのです。
そう考えると田野畑山地酪農の牛乳の価格はとても良心的だと思います。
ただ一方で、大丈夫かなぁという心配もあります。
そこをどう解決し、乗り越えていくかの、
マーケティングが課題ですね。
続く!

コメント