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おいしい山地酪農の牛乳を飲んでごらんなさい!その3

高級品化した牛乳を買った私がなぜ、これは違うと思ったか。

私がいちばん違和感を感じたのは、

この生産者は、自分の牛乳を誰に飲んで欲しいと思っているのだろう、と言う事です。

瓶やパッケージのデザインは明らかにおしゃれで気取っています。

だから日常的に飲む感じではないです。

当然、大衆とは距離があります。

ビジネス的にいうと、

顧客ターゲットはセレブでしょうか?

自然放牧も山地酪農も、乳量が少ないですから当然価格は高くなります。

逆に、田野畑山地酪農の価格は、

採算が取れるのかと、心配になります。

しかし高級品のような牛乳は、

あの凝ったデザインや包装には逆にお金がかかるでしょうし、

ほんとうにそれはビジネス戦略として良いのかと、私は疑問に思いましたが、

余計なお世話ですね…笑!

まあそれには、私などには分からない経営上の理由があるのかもしれません。

ただ、

価格の高いものをセレブに売るという発想は、まさに今の、

激烈な自由競争の資本主義経済的発想の圏内を、

一歩も出ていないように思います。   

利益追求の為に、

大量生産、大量消費の逆の

ブランディングをやっているだけのようですし。

反対に重要なのは、

⭕️誰に飲んで欲しいかだと、私は考えます。

例えば、前回挙げた吉塚公雄さんの言葉「都会の金持ちの為に作っているのではない」というのは

セレブではなくむしろ

広く多くの人々に飲んでもらいたいという、

牛乳を飲む人々に対する愛情があります。

上記のブランディングには、それが感じられません。

誰にどのように売りたいか。

その上で、

⭕️その人々が飲めるようになるにはどうしたらいいかと言う発想と工夫です。  

吉塚さんのあの言葉は、  

ご自分を始め、

牧場のスタッフの苦労の結晶である牛乳を、 

今は価格による制限が仕方なくあるが、しかし本当はできる事なら

出来るだけ多くの人々に飲んで貰いたいと言う温かさがあります。

そして飲んでくれる人々に、

自然そのままの山地酪農を知って貰いたいと思っておられるのではないか、と私は思うのですが…。

もし、そうだとしたら、私が買った高級志向の牛乳のような、

あんなに大袈裟な意匠は必要ないです。

ちなみに田野畑山地酪農は紙パックです。

いかにも山地酪農らしいデザインの紙パックです。

確かに紙パックより瓶の方がいいけれど、それよりも大事な事は、

⭕️飲み続けてもらえるという事ではないか、と私は思いました。

それが翻って、

山地酪農の理解者やファンが増えることであり、

その発想こそが

山地酪農が成功していく事へと繋がるように思います。

優先順位は、デザインやブランディングではなく、

あの新鮮でおいしい牛乳が

⭕️地域の人々に愛され飲み続けられることだと思いますよ。

だから、前回、田野畑山地酪農さんがつけた、

牛乳1ℓ700円が、

価格が絶妙と書いたのです。

700円ならちょっと高くても、

心ある消費者は買い続ける事ができます。

実は、そういう風に、

そのビジネスをささえる大衆の顧客の核がちゃんとある、という事は、

とても重要なポイントではないかと思います。

つまり人としての吉塚さんの心ざしが、

地元の人々の心に響いている。

信頼を得ているという事でしょう。

それは、

⭕️田野畑村と岩手の人々に愛されて、

地元の特別おいしい牛乳として、

自慢の牛乳として、買い続けられ、

広がってゆくのではないかと、

思います。

いちばんのダメなのは、

この牛乳を飲んでくれる人々への愛情がないビジネスです。

愛情がないからこそ、日本の乳業の大手メーカーは、せっかくの牛乳を流通しやすい超高温殺菌にしまったのでしょ。

また、先駆者としての使命感に欠けるビジネスです。

先駆者達が見ているのはセレブになることですか?

違うでしょ。

先駆者達の心にあるのは

人間愛だと私は思います。

先駆者達は人々の為に頑張るのであり、

金や儲けの為に頑張るのは成金ですから…笑!

     ◯

時間はかかります。   

しかし田野畑から更に岩手全県へと

同心円的に広がる山地酪農の牛乳を愛する人々の群れは、

これから益々広がっていくでしょう。

          続く!

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この記事を書いた人

作家。映画プロデューサー
書籍
「原色の女: もうひとつの『智恵子抄』」
「拝啓 宮澤賢治さま: 不安の中のあなたへ」
映画
「どこかに美しい村はないか~幻想の村遠野・児玉房子ガラス絵の世界より~」

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