私は以前ドイツの元首相メルケル氏を尊敬していた。その理想主義を。
ところがドイツの今の惨状を見ると、なぜこうなったのかと、メルケル氏の理想主義を疑わずにはいられなくなった。
今のドイツの衰退の原因の一つに、原発を全て廃止したことがある。
ところがウクライナ戦争が始まり、ロシアからの石油輸入を断った今、ドイツは大変なエネルギー不足に陥っている。
また、ヨーロッパ大陸を横断する産業と経済の一帯組織となるはずであったEUが、今は逆にドイツやフランスが身動きできない鎖になってしまった。
更に人道主義的に、そして労働力としても、多くの移民を受け入れた結果、ドイツやフランスの伝統的秩序が壊されている。
一体メルケル氏は、どこのボタンを掛け違えたのかと、私は首を捻っている。
薄っすらと私に見えているのは、メルケル氏は、「人間」を、つまり「人間」の現実を、甘くみすぎた、のではないか、ということだ。
人間の現実を、理想主義の窓からみてしまい、人間が持つ、愚かで、自己本位で、本能的に蠢めく欲望や、あからさまな利害優先の醜い姿を、
いわゆる人間の「原始的裸像」を、見落とした。
それはまさに、この間のアメリカやヨーロッパを蔽っていた、インテリゲンチャーの、観念で世界を主導し、牽引しようとした、インテリジェンスの敗北ではないか、と、私は思う。
それも、安易なインテリジェンスであり、
人間のそら恐ろしい闇を深く理解せず、
安直な理想主義に走る、二流インテリジェンスであったからだと、
私は思う。
この世は、二流インテリジェンスがあたかも、一番であるかの様に錯覚した人間が、蔓延る。
日本でも、二流インテリジェンスである、中道と左派が、見事に陥落してしまった。しかし、一方の、
泥クソまみれの自民党も、もう腐りすぎて、後は泥海に沈むしかない。
私は今、陥落していく世界を、空手のまま見ている。
人間はどこでボタンを掛け違えたのか、地から湧き出る虚無感にひっぱられながら、この崩壊を、
見ている。
ただ、この崩壊の後に、微かな光が射すことを、垣間見ながら、
みている。

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