今日はアンデルセンのお父さんのことを書きます。
アンデルセンのお父さん、ハンス・アンデルセンは、デンマークでの共有地囲い込み政策で、
農地を失い、オーデンセに流れたきた貧しい農民の息子です。
お爺さんは小作農をしながらも靴職人としても働いており、アンデルセンのお父さんも、徒弟に出され、
靴職人になりました。
ただ、アンデルセンが物心ついた時、お爺さんは精神疾患を患っており、実はお父さんもナポレオン戦争に従軍して帰ってきた時から精神に異変をきたします。
だからアンデルセンは生涯いつか自分もそうなるではないか、という負の遺産に脅かされていたと言います。
それでもお父さんは当時のヨーロッパで起きてきている近代思想や哲学を勉強していたらしく、
「キリストは私達と同じ人間だったのだ。しかしなんと並外れた人間だったことか」と言い
「私たちの心の中以外に悪魔は存在しない」ともアンデルセンにいっています。
※アンデルセンのお父さんは、悪魔とは自分たちの内面に住んでいる
自我の陰だという事を、うっすら分かっていたのですね。
まだまだ多くの人々が盲目的で、土着的なキリスト教信仰の呪縛の中にいる当時において、
アンデルセンのお父さんは、新しい先端的なインテリジェンスを持っていたかもしれません。
そのお父さんはアンデルセンに本を読み聞かせ、また本を与え、演劇や音楽や芸術の基礎を教え、アンデルセンの才能が開かれたとも言えます。
しかしお母さんは全く無学であり、自分の名前すら書けない文盲であり、さらに土着的な迷信や占いを信じており、
この夫婦の中はかなりの亀裂がありました。
そんな中でアンデルセンはお父さんをより信頼し、さらにこの父子は学問、文化を共有する共依存の中におり、
逆にお母さんはそこから疎外されていたふしがあります。
どうもアンデルセンは、自分に教養的刺激をくれるお父さんの方を上に置き、お母さんのことを下に見ていた節があります。
しかし私から見ると、確かにお父さんには文化や教養がありますが、もしかしたら、インテリの甘ったれではないかとも思えます。
だからこそ、
教養はあるが頭でっかちのお父さんは、生活のことより、熱狂的なナポレオンを信奉し、ほんとにウカウカと、
金持ちの農民にお金をもらい、その息子の代わりに、ナポレオン軍へと従軍します。
しかし、結局は戦闘に参加しないまま2年後に帰ってくるのですが、軍隊での過酷な生活がたたったのか、精神に異常をきたしてしまいます。
そして帰還後、2年の闘病の後、お父さんは亡くなってしまいました。
益々生活が貧窮する中、お母さんはさまざまな仕事をして生活費を稼ぎます。
薬剤師のために薬草を摘んで生きたり、王宮の台所を手伝ったり、主には、川で裕福な家の洗濯物をしたりと。
特に秋から冬にかけて1日6時間も凍てつく川の中での洗濯がどれほど重労働であったことか。
どうでしょう。無学で無教養だけど、お母さんは逞しいです。
一方アンデルセンはその美しいボーソプラノを武器にオーデンセの富裕層へと取り入り、パーティーや
寄せ合いに呼ばれ、一人演劇をしたり、詩を朗読したり、唄を歌ったりして、お金を稼ぐことをはじめます。
ついには「フュン島の小さな夜啼き鳥」と称され、
私に言わせれば、彼なりの自立が始まろうとしました。
そんな中、お父さが死んで2年後にお母さんが自分よりはるか年下のギュンターセンという靴職人と再婚しました。
凄いねお母さん!!
ただこれでお母さんが少し裕福になったかというと、
逆に益々貧困になり、その4年後にギュンターセンが亡くなったときは極貧に陥ったとありますから、
お母さん、どうなっちゃているのか・・?と思いますが。
更には、再婚相手との家庭の中で、お母さんが益々よそよそしくなったとありますから
そんなお母さんのことをアンデルセンは疎んでいたのかもしれませんね。
お母さんが再婚してその2年後、14歳になったアンデルセンは、富裕層相手にして貯めたお金を懐に、
いよいよコペンハーゲンへと旅立ちます。
ここで特筆したいのは、
おばあちゃん、つまりお父さんのお母さんの存在です。
おばあちゃんは、アンデルセンにとっては、とてもやさしい存在ではなかったかと思います。
おそらく「雪の女王」に出てくる、優しいおばあちゃんです。
実はアンデルセンの父方のおばあちゃんは、精神病院兼養老院で働いていました。
そこへ少年アンデルセンが遊びに行き、人気者になります。
そしてそこで、アンデルセンはおばあちゃんたちからいろいろなデンマークの民話を聞かせてもらいます。
有名な「氷姫」の民話、これが「雪の女王」の原形になります。
その他、トロールや、水の精の話や、魔女や兵隊や王女の話など、それが後には、アンデルセンのネタ帳になるのです。
ではいよいよコペンハーゲンです!!

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