田下啓子遺言・真艫の風そして、どこかに美しい村はないか。その1会社は、社員がイキイキと生きる場でなければならない。

私は映画を二本プロデュースしました。

一本目が「真艫の風」二本めが「どこかに美しい村はないか」です。

「真艫の風」の風は,夫田下憲雄が人生を捧げた会社を退任するにあたり、

その会社の社員の方々と関係者の全員への贈り物として作りました。

まず最初になぜ、私がこ一本目の作品である

「真艫の風」をプロデュースしたかを書きます。

「真艫の風」は夫が会長をしている会社の退任を密かに決めた、

退任前の1年半くらいから、企画し、撮影を始めました。

その時は誰も田下憲雄が退任する、という事などを知りませんでした。

だから社員の皆さんには、その事を知られないように、

田下憲雄と会社の風景を撮る、という名目で、

会社の中を撮らせてもらいました。

なぜ、この映画を撮ったのかの理由は、冒頭で書いたように

社員の皆さんへの贈り物として、是非とも、

田下憲雄が会社について語っていた

「会社は、社員がイキイキと生きる場でなければならない。」という事を

お伝えしたかったのです。

田下憲雄がいなくなっても、その会社が、人々の生きる場として

まっとうな場(真艫な場)としてあるように祈りを込めてつくったのです。

映画は会社や役員のためではなく、そこで働く社員のために作りました。

会社(企業)は、

社員どうしが競って反目したり、取り巻きや派閥を作ったり、出世競争をしたり、

更には利益だけを優先して、業績を上げればいいというものでもない。

大事なことは社員が疎外される場であってはならない、という事です。

会社の成長のために社員を犠牲にしない、ということです。

もう40年くらい前のことだと思います。

そして田下本人ももう忘れているようですが(苦笑)

彼がドイツ出張から帰国して話してくれたことがあります。

それはドイツでは出版されているが、日本では出版されていない

日本の学者の本のことです(英語、ドイツ版はあるが日本語版はない)

書いたのは一ツ橋大学の教授であったと覚えていますが、その内容こそが

「会社とは社員がイキイキと生きる場ではなくてはらない」という内容で、

それを読んだ田下が、是非自分も、そういう会社にしたいと目を

輝かせていたことです。

実は,田下は夫としても父親としても失格で、

仕事のために生活するという、そのために

私たちは家族はほとんど捨てられた状態でありました。

というのも、皆さまはもうご存知かもしれませんが、

今では当たり前になっている商品についているバーコードがありますね。

そのバーコードを使った販売システムを作ったのが田下です。

そのシステムを作るためにほゞ16年間を要し、それに没頭しました。

家族なんか眼中に在りませんでした…笑!

ただ、世の中は革命的な大変換をとげました。

結婚当初のその会社は

超ブラック企業でありましたから、

彼は組合委員長として、

会社をいかにまっとうにするか、としても戦いましたから、

結婚以来ほぼずっ~と会社に没頭し、私達家族はもう、

彼にとって家に帰って寝るだけの要員であったと思います。

たまにしか顔を見ない父親に対して、

たまたま朝ごはんを共にした幼い娘が、彼が出勤しようとすると

「もう、帰るの?」と言ったことは、頭から離れません。

当時の私達夫婦は、

大変な葛藤の中におりましたが、

しかし私も「会社は社員がイキイキと生きる場」という言葉には

大変共感し、感激したことを覚えています。

だから私も、家庭を省みない夫に激怒しながらも、

一方では彼のこころざしが遂げられることを祈りながら耐え、

頑張ったと思います(苦笑!)

彼を私達家族で縛ることより、

彼がその能力を社会や善き会社を作るために生かすのなら、

私の家族のためより、何倍も多くの人々のためになる。だから

自分達のことはあきらめようと思いまました。

でもすごい葛藤がありましたよ(笑い)

そして田下が社長になり、いよいよ会社が輝くと思いました。

会社がそうであるかないかは、外部の人間である私には分かりませんが、

田下の言葉を借りると、

会社は出来る人間も、できない人間もすべての

様々なる多種、多様な人間が集まってこそ、会社であり、

業績を上げるだけが優先されるべきではない。

目には見えない処、耳には聞こえてこない処でも

社員のひとりひとりの働きがある。

地球も社会も企業も人間も、世界とはそういうものである、と。

そのためにはいつも、私たちはまとも( 真艫 )でなければならない。

真艫とは、

後ろからの追い風を船の船尾(艫)に受けて、

目いっぱいの帆を揚げて船がまっすぐ進むことです。

横波が来ても、船頭がミスをしなければ、

舟がどんどん目的地へと進んでいく。

それを例えて、まっすぐで正直で誠実な理に適っていることを

「真艫」と言います。

次回からは田下憲雄のメッセージ集から、

その言葉を引用しながらお伝えしたいと思います。

            つづく!

これは今、憲雄氏が冬に向けて作っているガーデンです。
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この記事を書いた人

作家。映画プロデューサー
書籍
「原色の女: もうひとつの『智恵子抄』」
「拝啓 宮澤賢治さま: 不安の中のあなたへ」
映画
「どこかに美しい村はないか~幻想の村遠野・児玉房子ガラス絵の世界より~」

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