アメリカの衰退になぜプロテスタンティズムが関係あるかについて。
ちょっと難しい話なのですが、なるべく分かりやすく書きます。
私が大学生の時に読んだ本にエーリッヒ・フロムの「自由からの逃走」があります。
本当はファシズムがどうして起きるかの真相が知りたいと思って読んだのですが、そこに書いてあったのは、
人間は全くの自由を与えられると尻込みし、不安になり,逆に、
自由であることから逃げようとする。
つまりある程度の束縛や支配の中でこそ彼らはホッとし、
精神の安定を得ようとする、ということでした。
私としては、思いもよらない衝撃を受け、
またひとつ、
人間の深層心理の不可思議さを知りました。
人間は、ある程度の枠といいますか、
限定された空間
ドメインの中でこそ、安定するのですね。
その限定の縛りがないと,
人間は判断の認知を失い、どう生きたらいいかがわからなくなり、
虚無に陥って彷徨ってしまう,ということです。
人間は、法や規範,道徳,倫理の規律、
更には階級、階層,身分や所属、という枠組みのなかでは安定し、
そこで自分を見つめて自分の能力を相対化し、力を発揮する、ということです。
例えば中国の春秋戦乱の時代に
孔子や孟子がでてきて、
彼らがその言葉を以て、戦乱を治めたのが「儒教」です。
それは世の中を秩序だて、模範的な規範として
・仁・義・礼・智・信,という五つの徳(五常)を以て、
・父子・君臣・夫婦・長幼・朋友、の(五倫)関係を
どのように築けばいいかを説きました。
それは、ある種の束縛を持った規範と行動規律
ドメインの中に、
人間を治めようとすることです。
つまり宗教は、
人間が社会で生きる為に必要な秩序形成を担う役割が有るのです。
※ご利益や利益誘導するのは、亜流の宗教です。
この儒教をベースにしたのが江戸時代で、
徳川の長期政権の底を支えました。
また、士農工商という身分制度を設定し、
そこには役割と使命関係のドメインがありました。
士農工商というと、なんだか悪の身分制度の様に思われている節がありますが、
このドメインがないとまた、戦国時代の戦乱の世に戻りかねないのです。
同じように、
アメリカのプロテスタンティズムも、
移住してきたピューリタンの人々のベースにある、
規範、規律、道徳、振る舞いを規定して、アメリカをささえる秩序を作る、重要なドメインでしたが、
それがもう崩れてしまい、
社会の混乱と衰退が起きて、
ニヒリズムが蔓延してしまった,ということですね。
働く喜びや意欲を失っていく社会へとなっていってしまった、ということです。
だからトランプさんが本当にアメリカを復活させたいなら、
ニヒリズムからの回復する為の、大変な,
いわば社会戦略と思考が必要なのですが…。
◯
統治者たちが、賢くなく、
こういう人間の深層心理や行動原理を分かっていないと、
やたら表面的な政治術策ばかりに陥り、
経済も、自由の拡張や、競争原理が暴走し、
欲望の野放しが起き、
社会が一部の人間の為にだけ機能し、格差が大きくなればなるほど
人々は無力感に囚われ、
無謀になった人々によって、
規範や規律が崩落し、秩序が破壊されていくのです。
まさに今のアメリカがそうなりつつあるのでしょう。
◯
そうならない為に、私が口を酸っぱくして、いうのは、
日本人はアメリカとはちがう。
もっというと、
私たち日本人は、西洋文明とは全くちがう文化と伝統の上に築いた、
社会秩序のアイデンティティを持っている。
だからそれを失わないようにしないと、ダメだよ、と、
そういうことなのです。

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