映画評論家の谷岡雅樹氏がこの度出版された本の中で、
我が青春の親友、映画監督森安建雄の事を書いてくれた。
「Vシネマ 最後の弾痕」〜骨は雨に濡れて〜 (ペリカン社)
本はVシネマを舞台に、
あまりにも人間的で、あまりにも無頼であまりにも哀しく、そして余りにも気骨がキラキラしていた監督や俳優に対する、
谷岡さんの鎮魂歌である。
私などには何がどうだかよく分からないが、
道からはずれた魑魅魍魎の映画野郎達を、山岡さんが呟いている。
我が親友の森安建雄は、今村昌平の今村プロに入り、助監督として働き、相米慎二監督「セーラー服と機関銃」ではチーフ助監督を務めた。
私は、学生時代森安やその親友の米山君らとロックバンドを組み、吉祥寺近辺で遊び歩いた。
もし森安らと出会わなかったら、私は、お嬢さん育ちの平凡な音大生というより、
社会の表面しか知らない、つまらない人間になっていたと思う。
森安らは、衝撃的に破天荒で、ふざけた奴らで、
今まで見たこともないくらいオモロくてバカバカしく、
その異世界に私は連れ込まれた…苦笑!
森安が今村プロに入ってからは、殆ど音沙汰なく、
一回だけ親友であった米山が開いた井の頭公園の花見で会ったが、
何となく元気がなかった。
それでも口だけは
お前の娘、貸せよ!と相変わらずだったが。
その後本屋で見つけたの本の中で森安の写真を見たが、
そこには、
私達と遊び呆けていた頃のあの森安の輝きはなかった。
そして、森安が今村プロから疾走し、行方不明になった事を米山から聞いた。
何が森安を追い詰めたのか。
私の知ってる森安からは考えられない。
最後はもう意識不明でベッドに横たわっている森安にしか会えなかった。
目をつむったままの森安に
森安くん、覚えてる、吉祥寺のパチンコ屋風鈴で当てたお金で飲んだよね、楽しかったね〜。
と話しかけたら、気のせいか、まぶたがピクリと動いた。
森安はほんとうに今村昌平に献身し、身を捧げたと思うよ。
森安はそういう奴なんです。
森安がどういう男であるかを、
私も米山も知りぬいているからね。
強面で短足で、いつも駄洒落ばかり言って、悪人面して自分をピエロ化していたが
彼がどんなに優しく、サングラスの中がのいかにデリケートであるかを知っている。
彼の頭の良さも知っている。
だから今村プロに入ったと聞いて嬉しかった。
しかし、しかしねぇ、もしかしたら、そこは地獄だったのか。
今村昌平は森安という人間の値打ちを分かっていたのだろうか。
それとも映画界は、
ボロ雑巾のように人間を使い捨てるのか。
コンチクショウ!
あの森安がこんな形で早く死んだ事が悲しくて仕方ない。
悔しくてたまらない。
詳しくは、谷岡さんの本を読んでください。
彼が死んだとき書いた私の弔文を載せます。
これは谷岡さんの本に載せて下さったものでもあります。
『世の中にこんなフウに
世間様から外れて生きている人間がいて
通俗の真っ只中を生きているはずの君が
じつは
そこからはるかに俗を超越した
孤高の人生を
歩いていたことに
私は敬意を表します。
私の人生の青春の日に
君に出会えた事を
心からから感謝して
ご冥福を祈ります。』
ゲバチビこと 田下 啓子
谷岡さん、本当にありがとう!

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