夏目漱石の小説「三四郎」で漱石が不思議なことを言っている。
上京する汽車の中で三四郎が出会った広田先生に対して、
日露戦争に勝った日本が、これからも発展するでしょう、と言った三四郎に対して、
先生「亡びるね」と答えます。
日本はこのまま発展しても滅びる、というのです。
私はなにか暗示している不思議な言葉だと思いました。
そして漱石の本をよみながら、ある時「行人」を読み、
その中の一行を見つけて、びっくりしました。
あ〜、ここに、漱石から出された宿題の答えがあると思いました。
そこに書かれていたのは、
「人間の不安は科学の発展からくる。
進んで止まる事を知らない科学は、
かつて我々に止まる事を許して呉た事がない。
徒歩から俥、俥から馬車、馬車から汽車、汽車から自動車、それから航空船、それから飛行機へと、
どこまで行っても休ませて呉れない。
どこまで伴れて行かれるか、分からない。
じつに恐ろしい。」
「人間全体が幾世紀かの後に到着すべき運命を、…」
つまり「行人」の主人一郎(漱石)には
その後,幾世紀かを経て起こりうる世界の姿がみえており、
その不安に怯えるのです。
漱石が怯え、不安に陥らさせたのは、
明治維新以来日本に入ってきた、
産業革命と、科学によって爆進する西洋文明の姿であり、
その背景にあるキリスト教文化です。
漱石は明治政府によってイギリスに留学させられますが、
イギリスで精神的な窮地に陥り神経衰弱になってしまいます。
なぜなら、そこには、
私達日本人の精神世界とは
まるで異質な西洋文明社会があったからです。
今日は、これまでにして、
そのあたりはまた、次回書きます。

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