半沢直樹」と言えばやはり香川照之さんでしょう。
この人なしには半沢はありえない。しかし
なぜか、香川さんの顔にはある種の苦みが消えない。
これは演技では消すことのできない、
香川さん自身の人生の苦みのようで、
どうしても香川さんの皮膚の内側から染み出ている。
それが「坂の上の雲」の正岡子規などの場合は、影と深みになったが、
「半沢直樹」の大和田常務となると、なにか邪魔になってしまう。
つまりあのどうしようもない大和田常務でさえ、
無垢の笑顔の瞬間があろうに、そういう瞬間が一つもなく、
どうしても苦みが纏いつく。
もしそういう一瞬があのドラマのどこかであったら、
あのドラマはポンと一ランク上がると思います。
私は香川さんがどういう人生を送ってきたのかは全く知らない。
しかし、ここまで深く苦いものを沁みさせている役者も少ない。
それでも、どうしても取れないその人間の苦みというのが、
つまり香川照之の演じる人間の深さとなり
いつか、他の役者がとうてい辿りつくことのできない
深淵の演技者になることを、私は確信している。
三國さんをはじめ、そういう役者が数人いたことを記憶している。

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