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◆船は真艫からの風を背に受けて、インテージウエイをつき進む!

田下憲雄氏がインテージの社長に就任した時、

彼はみずからがリーダーとなって引っ張るこの会社のイメージを、

帆を掲げ、追い風にのり、

その艫が、真っ直ぐ目的地に向かって、颯爽と走る船に例えました。

自分の原稿を私には見せた事のない彼が、

この時ばかりは嬉しいそうに見せました…笑!

勿論、この船は、日本の産業界をまっしぐらに走る船であると同時に、

社員全員の生活を守る船です。

そして、

目的地は、社員ひとり一人の自己実現と、その幸福です。

同時にこの船の根底に流れているのは、 

●人間への尊厳です。

インテージの前身である社会調査研究所は、

憲雄氏が新入社員だった当時、とんでもないブラック企業でした。

残業の為に、明け方の3時ごろに帰宅し、仮眠し、

朝7時には出かけるという、モーレツ企業でした。

そんな苛烈な労働の中、当然のように会社に抗議する労働争議が起きました。

その組合の委員長になったのが、

憲雄氏です。

争議は激しくなり、彼は第二組合に、拉致され監禁されました。

また、

社屋はロックアウトされ、

社員は、社屋前に座り込みで、第二組合と睨み合い、

放水をあびながらも、捨て身で戦いました。

そんな中、

委員長の家族に危害を加えると言う脅迫があり、

私は、娘を背負い、手荷物を持って、まだ薄暗い明け方の林の中を逃げて、

実家へと避難しました。

あの時の記憶は忘れられません。

あの労働争議こそが、

人間を物や消費物のように扱い搾取する会社から、

人間の尊厳を取り戻す闘いであったこと。

だからこそ、

社会調査研究所(後のインテージ)は、

社員の自由と自主性が貫通する稀なる会社となりました。

この困難を潜り抜け、

一身に会社の為に働き、

現場から叩き上げて社長になった憲雄氏には、

人生の大方を過ごす会社こそ、人間の生き生きした臨場の場であらねばならない、と

言う信念があります。

新しく、インテージと名づけられた会社には、

高い知性を持つ人間開放のイメージを寄せたと思います。

そんなどこにも無い会社を彼は作りたかったのだと思います。

人間の尊厳とは、

ありとあらゆる世俗的属性をとっぱらい、

ただその人が存在している事に対する、尊敬です。

平たく言うと、生まれも育ちも関係なく、社会のいかなるヒエラルキーも、

学歴も地位や肩書きや階層も関係なく、

全ての人の、その人が

存在している事に対する、

無条件の、尊敬です。

この人間に対する尊厳を欠いた組織は、

いとも簡単に権力機構を成してゆきます。

労働者の解放を目的にした共産圏がなぜ崩壊したかは、

労働者の聖なる組織であったものが、

この大原則を怠たり、

権力の巨塔に成り下がったからです。

人間の尊厳の視点がない企業や組織は、

同心円的に取り巻きや派閥の権力機構をつくり、

社員の自主性を奪い、

内部から腐って行きます。

インテージ(旧社会調査研究所)は、

社員全員が、一丸となって、

今にも倒産寸前の会社を、

社員の力で立て直した、

新しいビジョンの会社なのです。

だからこそ、社長を始め、役員、上役らは、

そこになんらかの上下の権利関係が発生する場合は、

権力を持っている者は、

その行使に対し、

極めて慎重をきたさなければならないと、憲雄氏は言っていました。

憲雄氏の言う、

社員は、できる人もできない人も、全員参加であり、

みんなが凄い!とは、

単に企業が利益や業績を追うなどと言う、

スケールの小さい話ではないのです。

人間の生きる場としての会社です。

人々の大切な人生が投影されるフィールドなのです。

そして、

あの組合を立ち上げ、闘った時の

社員全員の連帯と友情こそが、

インテージの肝であり、要であり、

魂で在るからです。

だからこそインテージには、

パワハラもセクハラも

イジメもない、

派閥も、上役の取り巻きも作らない

会社であらねば、

ならないのです。

そういう事をする人間は、恥ずかしいのです。

高い希望と知性を持って社会に貢献し、

ひとりひとりの潜在的ポテンシャルが、

花開いてゆく会社でなければ

ならないのです。

インテージウエイのイズムとは、

追い風に乗り、

大きな帆を掲げ、

世界と言う大海原を

艫が真っ直ぐ進む会社です。

憲雄氏私も時間が限られてきました。

憲雄氏も私もが願うのは、

その船の目的地こそ、

社員の皆さんの人生の充実と幸せです。

是非、手に入れてほしいです。

どこにもない会社、

人間の尊厳がその根底に魂として流れている会社を、

社員の皆さんに、託します。

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この記事を書いた人

作家。映画プロデューサー
書籍
「原色の女: もうひとつの『智恵子抄』」
「拝啓 宮澤賢治さま: 不安の中のあなたへ」
映画
「どこかに美しい村はないか~幻想の村遠野・児玉房子ガラス絵の世界より~」

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