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人はなぜ生きるのか6、観客に優しい個展!

この度秩父の矢尾百貨店で香本博さんの個展の企画とプロデュースをやらせて頂いた。

嬉しいことに300人近くのお客様が入り、絵もたくさん売れ、カレンダーとTシャツも完売した。

これはひとえに香本さんの絵の力によるものであるが、

それと同時に私の長年の希望が叶えられたことでも、とても嬉しい企画になった。

それは、絵というものが、広く言えば芸術というものが、

ダイレクトに人々に語りかけ、

人々が、その心に響いた絵を、

ごく自然に素直に買上げる、という、

人々と芸術のマッチングができたことである。

芸術が権威的でもなく、むしろその

作品のありのままが、

人々に語りかけ、響いていく。

人々はまるで自分の心を買うように、

もっというと、

心の食べものを買うように、

絵を買ってゆく。

そういう展覧会をやりたかったのですよ。

       ◯

以前銀座で開かれていたある絵描きの個展に行った。

まー細密ではあるが,たいして面白くもないその絵たちは、

サムホールで30万余円の値段がつけられていた…⁉︎

※サムホールというのは、22.7✖️15.8㎝の、小さな絵のことです。

客は私一人であったが,某地方新聞の記者が取材に来ており、

作者はかなり饒舌に自分のことや絵のことを語り,

さらにNHKの「美の壺」で取り上げられたと、 

チラチラと私の方を伺い、

聞こえよがしのように、話していた。

まあ、私が鈍臭い婆さんの客に見えたのかもしれませんが…笑!

その記者が帰った後,私はその作者に質問をしたが、

その答えを聞いているうちに

だんだん私の中に苛立ちが起き反論した。 

最後は大喧嘩になり…笑!

画廊のオーナーが私に謝罪して、

収まった。

それで,この個展に行くように勧めてきた人に、

行ってきたよ、と電話をしたら、

どうでしたか?と聞かれたので、

大喧嘩したよ,と報告したら、

彼は電話の向こうでアッハッハと、

大笑いしていた…笑!

私も、大笑い!

     ◯

私は、こういう権威的な、見せびらかしの個展が、大嫌いです。

まーたまたま他者に勧められていったのであり、

私が自発的に見たいと思ったわけではない,ということも、あるが。

しかし、私流にいうと、

観客に、気を付け、礼、をさせて見せるような個展、

やたら高額の値をつけて、客をびびらせるような個展も、

問題だと思っているからね。

そもそものその作者だって描いている時は、

もー、一心に素朴に絵に向き合っているはずでしょう。

それは、金持ちのコレクターとか、

投機のために絵を買う輩に売る為に

描いているのではないでしょうに。

      ◯

そういう賞をめざしたり、画商に認められる為の絵の描き方も、売り方も、

それはそれでいいです。

ただゴッホも,マネもゴーギャンも

印象派の絵描き達の殆どが、

日本の浮世絵に感動し、影響された。

浮世絵は,まさしく大衆に愛され、

買われた絵でもあります。

安価というと語弊があるが、

まさしく大衆が、買えた、芸術品です。

えらそうに権威付けられたのでもない、

絵の前で気を付け,礼をさせるのではない、

絵を見た人が、 

自分の目で見て、

本当に、欲しいなぁ〜と言って

この絵をそばに置きたいなぁ〜と思って、

買っていく。

毎日眺めて,癒されて。

     ◯

香本さんの絵は、人々に優しい。

日々の中で毎日移り変わり、惜しげもなく人間を癒してくれる、

美しい自然の風景や、 

風に揺れる木立や、

高く聡明な空や星や、

草も花も、人間もが、

描かれてゆく。

私は、そういう贈り物としての

絵画展をやりたかったのです。

      ◯

たくさんの皆さま、

ご来場を、

ありがとうございました。

また、来年ね!

写真は、香本博さんの来年のカレンダーの扉の絵です。

なんだかいいなぁ〜、と思います。

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この記事を書いた人

作家。映画プロデューサー
書籍
「原色の女: もうひとつの『智恵子抄』」
「拝啓 宮澤賢治さま: 不安の中のあなたへ」
映画
「どこかに美しい村はないか~幻想の村遠野・児玉房子ガラス絵の世界より~」

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