この度秩父の矢尾百貨店で香本博さんの個展の企画とプロデュースをやらせて頂いた。
嬉しいことに300人近くのお客様が入り、絵もたくさん売れ、カレンダーとTシャツも完売した。
それと同時に私の長年の希望が叶えられたことでも、とても嬉しい企画になった。
それは、絵というものが、広く言えば芸術というものが、
ダイレクトに人々に語りかけ、
人々が、その心に響いた絵を、
ごく自然に素直に買上げる、という、
人々と芸術のマッチングができたことである。
芸術が権威的でもなく、むしろその
作品のありのままが、
人々に語りかけ、響いていく。
人々はまるで自分の心を買うように、
もっというと、
心の食べものを買うように、
絵を買ってゆく。
そういう展覧会をやりたかったのですよ。
◯
以前銀座で開かれていたある絵描きの個展に行った。
まー細密ではあるが,たいして面白くもないその絵たちは、
サムホールで30万余円の値段がつけられていた…⁉︎
※サムホールというのは、22.715.8㎝の、小さな絵のことです。
客は私一人であったが,某地方新聞の記者が取材に来ており、
作者はかなり饒舌に自分のことや絵のことを語り,
さらにNHKの「美の壺」で取り上げられたと、
チラチラと私の方を伺い、
聞こえよがしのように、話していた。
まあ、私が鈍臭い婆さんの客に見えたのかもしれませんが…笑!
その記者が帰った後,私はその作者に質問をしたが、
その答えを聞いているうちに
だんだん私の中に苛立ちが起き反論した。
最後は大喧嘩になり…笑!
画廊のオーナーが私に謝罪して、
収まった。
それで,この個展に行くように勧めてきた人に、
行ってきたよ、と電話をしたら、
どうでしたか?と聞かれたので、
大喧嘩したよ,と報告したら、
彼は電話の向こうでアッハッハと、
大笑いしていた…笑!
私も、大笑い!
◯
私は、こういう権威的な、見せびらかしの個展が、大嫌いです。
まーたまたま他者に勧められていったのであり、
私が自発的に見たいと思ったわけではない,ということも、あるが。
しかし、私流にいうと、
観客に、気を付け、礼、をさせて見せるような個展、
やたら高額の値をつけて、客をびびらせるような個展も、
問題だと思っているからね。
そもそものその作者だって描いている時は、
もー、一心に素朴に絵に向き合っているはずでしょう。
それは、金持ちのコレクターとか、
投機のために絵を買う輩に売る為に
描いているのではないでしょうに。
◯
そういう賞をめざしたり、画商に認められる為の絵の描き方も、売り方も、
それはそれでいいです。
ただゴッホも,マネもゴーギャンも
印象派の絵描き達の殆どが、
日本の浮世絵に感動し、影響された。
浮世絵は,まさしく大衆に愛され、
買われた絵でもあります。
安価というと語弊があるが、
まさしく大衆が、買えた、芸術品です。
えらそうに権威付けられたのでもない、
絵の前で気を付け,礼をさせるのではない、
絵を見た人が、
自分の目で見て、
本当に、欲しいなぁ〜と言って
この絵をそばに置きたいなぁ〜と思って、
買っていく。
毎日眺めて,癒されて。
◯
香本さんの絵は、人々に優しい。
日々の中で毎日移り変わり、惜しげもなく人間を癒してくれる、
美しい自然の風景や、
風に揺れる木立や、
高く聡明な空や星や、
草も花も、人間もが、
描かれてゆく。
私は、そういう贈り物としての
絵画展をやりたかったのです。
◯
たくさんの皆さま、
ご来場を、
ありがとうございました。
また、来年ね!

写真は、香本博さんの来年のカレンダーの扉の絵です。
なんだかいいなぁ〜、と思います。
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