皆さんはご存知ないと思いますが、
全てを会社で使いきった憲雄氏は、
家ではまるで別人格であり、
家族とは口もきかず、
ずっと気難しく押し黙り、ニコリともしませんでした。
彼はまあ、抜け抜けとそれを日経新聞のインタビューに答えて以下のように言っています。
「いつの間にか、仕事と会社の夢を実現するために、生活するようになった…」
何という事か、お前、締め殺してヤローカッ!
私は悩みましたねー。
そして、家族は傷ついて、
子供達に異変が起き、子供も苦しみました。
これがちょうど彼がポスシステムの設計と開発に取り組んだ時期と重なります。
私は必死で子供達の心の回復に取り組みました。
子供の心が不安を乗り越えるそれには10数年がかかりましたから、それもまた、ちょうど
ポスシステムが出来上がりそうになった頃と重なりますね。
ポスシステムの完成には13年、最終的には16年かかりましたから。
家族がおかしくなっていく中、
それをなんとか乗り越えていく為に、
私自身が、カウンセリングを受け、
さらに心理学やカウンセリング学を勉強し、資格を取りました。
そんな中家庭を放棄する憲雄氏を
どのように理解したらいのかにも苦しみ、
さらに憎しみさえ湧いていた時の、カウンセリングで、先生から、
「ご主人が、そんなに会社に入れ込んでいるなら、
ご主人の愛している会社を貴女も愛したらどうですか…」
と言う言葉を投げかけられました。
人を変えることは、できない。
ましてや、その人間が持っている才能を奪うことは、
私の人生の意義にも反する。
ここから、私の猛烈な自立が始まりました。
勿論、苦しみましたよ。
考えて考えて、考えた末に、結論を出しました。
私は、この男から自立する。
彼への執着を断つと同時に、
自分への執着をも断つ。
妻として、女として、家族として
愛されることを放棄する。
しかし、一人の人間としてこの男に
対峙し、
この男の才能が活かされる事を阻害しない。
子供を真っ当に育てる事は私の使命であり、
家庭を維持し、家族を守ることも
私の責任として、引受ける。
一切の自分を諦めることで、自立し、
この男の才能を家庭に縛り付ける事より、
この男を生かすことで、何千人の
人々の役に立つ、
言う結論を出しました。
「非所有の所有」
これは若き日に読んだ作家森崎和枝氏と、
ニコルさんの師匠であった
谷川雁の言葉でもあります。
「貴女のご主人が愛している会社を
貴女も愛して下さい。」
とても厳しい言葉です。
以来、師と仰ぐ、イエス、良寛の言葉に支えられながら、
今日まで頑張ってきました。
でも、私はストイックではありませんよ。
あくまでも自由で、奔放な芸術家気質の私を、
道連れにして、です。

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