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みんなVシネマの中を駆け抜けた!

Vシネマ評論家の谷岡雅樹さんの本に

高い書評が出たらしい。

朝日芸能の書評、寺脇研の「今週のいちおし」に

「Vシネマ最後の弾痕」〜骨は雨に濡れて〜が選ばれたらしい。

Vシネマは劇場では上映されない、レンタルビデオの映画である。

その為か、何か劇場映画より格下に扱われがちであるが、

ところがどっこい、むしろ映画の本流はVシネマにあるかもしれないのだ。

この本によるとVシネマの王者竹内力や哀川翔を始め、菅原文太や松方弘樹など、

錚々たるメンバーがVシネマに出演している。 

それだけじゃない。

桜塚やっくんや

渡辺裕之さんも萩原流行さんも、

可愛かずみさん他、

映画バカとでも言うべき映画の魅力に取り憑かれた面々が、

Vシネマの常連スターである。

日本のエンターテイメントが、

どんどん安全で安心で表面的な人間ドラマに落ち、

ファミリー大衆に消費されてゆく中で、

暴力や裏社会や闇も含めて描かれるVシネマが、

どれほど彼らにとって水を得た魚になり得たか。 

残念なことに、今の日本には、偽善や、ありきたりのエセヒューマニズムが

もうオブラートのように社会を蔽いつくしている。

はっきり言うと、今のエンターテイメントの世界は、

飼い慣らされて、型にハマった金太郎あめのごとく、

殺気もダイナミズムも消えて、面白くもなんともない。

閉塞し、窒息死した社会を突き破るほどの躍動感は、

もうエンターテイメントには見当たらない。

そんな中で、映画に賭け、映画に溺れ、

映画しかなかったそんな奴等が

みんな、

Vシネマの 激雨の中を走り抜けていった。

それを谷岡さんが書いた。

我が親友森安建雄映画監督も、映画に取り憑かれたひとりとして死んだ。

私はそれを誇りに思う。

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この記事を書いた人

作家。映画プロデューサー
書籍
「原色の女: もうひとつの『智恵子抄』」
「拝啓 宮澤賢治さま: 不安の中のあなたへ」
映画
「どこかに美しい村はないか~幻想の村遠野・児玉房子ガラス絵の世界より~」

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