今宮崎駿さんのアニメ「君たちはどう生きるか」が公開されました。
私は見ていないのですが原作の方は読みました。
しかし娘に聞いたところ、タイトルは同じだけど原作とはあまり関係ないらしいよ、との事でした。
それはそれとして、
私が原作を読んだ時に思ったのは、
古いなあーという事です。
それで、どう古いのかを書いておきます。
かなり大雑把に書きます。
◯
明治になって西欧文学が入ってきました。
それは江戸文学にはなかった西欧ロマンと心理学的内面描写のものであり、
以前ご坪内逍遥の言葉でご紹介したように、
西欧ロマンに憧れた日本の文学者達は、しきりに新しさとして取り組み、
それは大きくは、
三つの潮流に分かれました。
一つはいわゆる自然主義文学者達です。
島崎藤村や田山花袋や正宗白鳥などです。
この人たちの名前からしてわかるように、ある種の感傷的ロマンを含み、
自分の内面を掘って、
自己懺悔したり、
また感傷的な感情で自己を見つめたり、
貧富の差や社会矛盾をも問いかけていく潮流です。
もうひとつが自然主義文学より客観的であり、
自然主義ほど自分に陥らず、
自分見つめて物語を書いていく、
森鴎外や白樺派の志賀直哉や武者小路実篤などです。
そして第三の潮流が夏目漱石です。
といっても彼一人ですから潮流と言えるかどうか。
漱石だけが私に言わせれば、
超客観的に人間の本質や原現象に切り込んだと思います。
例えば自分の過去を告白する先生の「こころ」も、
自己懺悔ではなく、
むしろ否応なく起きてしまう人間のこころを
<超倫理>的に見つめようとしています。
漱石はむしろ懺悔したり、内省して自分を追い詰めるのではなく、
ありのままの自分を抱えて
悩みながら生きたらどうですか、
所詮、この世に片づくことなどないのですから、と、
実はとても肯定的です。
そして
吉野源三郎著「君たちはどう生きるか」ですが、
私が感じたのは、どうも自然主義文学臭いなぁ〜ということです。
アニメはどう描いているのかわかりません。
ただ私は若い人々には、
内省的や感傷的に陥らず、
どうしょうもない自分と格闘しながら、
逞しく生きてほしいです。
まあ、余計なおせっかいかもしれませんが、
そういうことです。

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