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エッセイその20、大谷フィーバーのその陰で、社会の底辺を支えている若者に感謝し,ねぎらう。

問題は、

若い人々の中のフラストレーションや閉塞感によるネガティブな感情や思いが、

なんの手当もされず、

社会の深部に沈殿していることです。

もうずっと以前の事ですが、

ある若い女性から話を聞きました。

その時彼女が悩まされていたのは、

浅田真央さんに対する強烈な嫉妬です。

当時浅田真央さんはオリンピック話題の花として、

連日のようにメディア,マスコミで放送されていました。

一方彼女は就職氷河期に就職できず、

以来アルバイトで生活を繋いで、

コミケで自作漫画を売り、

なんとか自分世界を維持していました。

私から見ると浅田さんには浅田さんで、他人には分からない大変な苦労があったと思いますが、

しかし、

彼女の目に映る浅田さんは、 

世間から華々しくもてはやされて、

チヤホヤされているようにしか見えなかったと思います。

嫉妬というのはとても苦しいです。

      ◯

世の中というのは本当に残酷で偽善的で、

表面に見える華々しいものには、

安易な賞賛をしますが、

彼女のようにアルバイトで社会を支えている存在には目もくれません。

アルバイトだって、

ブラック企業の印刷工場で働いている若者だって、

回転寿司屋で皿洗いをしている若者だって、

派遣やパートで頑張っている若い人々だって

皆んな社会を⭕️底支えているのです。

しかし誰が彼らにその労働をねぎらうのでしょうかね〜。

誰が、あなた達の労働のおかげで社会が成り立っている、

ありがとうね、と、

言うのでしょうか。

以来私は世の中のバカ騒ぎには、

苦々しい思いが湧いてきます。

    ◯

もし成熟した目を持っておられるなら、

社会というものは、

さまざまなものが、

その役割をはたしながら連環して生きている事を、

そうではなければ、

社会など成立しない事を

分かっておられると思います。

だとすると、

成熟した者こそ慎重に、

世の中に踊らされず、

しっかりと世の中を見渡して、

最も弱いところ、最も社会の歪みの

影響を受けている人々にこそ、

眼差しを向けて欲しいと私は思います。

華々しく報道される大谷フィーバーを、

おそろしく冷めた目で見ている若者達がいる事。

もしこの日本社会に未来の希望があるとしたら、

その若者達もみんなが、

自分の存在の確かさや、

自分の生かし方を見つけることが出来るような

知性と成熟で、社会を包み込む必要があります。

それがいかに至難の業であるか百も分かっていますが、

とにかく、書いておきます。

温かい眼差しを彼らに注ぐ事だと私は思います。

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この記事を書いた人

作家。映画プロデューサー
書籍
「原色の女: もうひとつの『智恵子抄』」
「拝啓 宮澤賢治さま: 不安の中のあなたへ」
映画
「どこかに美しい村はないか~幻想の村遠野・児玉房子ガラス絵の世界より~」

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