お笑い芸人永野が書いた本「オルタナティブ」読みました。
77歳のおばあちゃんにとっては,
わからないだらけのカタカナの名前が出てきて、
それなりにやっとついていけたという感じかなぁ。
ただね懐かしいチャクベリーの名前がでてきたから、
なんとなくあーそこか、そこねーと、
永野氏の反骨のルーツが分かった気がした。
ラップやロックのルーツの黒人達の反骨だね。
そこを紐解くと。
そもそもブルースが生まれた時代、
アメリカの南北戦争が終わり奴隷が解放された時、
彼ら奴隷達にとっては、解放、それはいいけれど、
いったいオレらどう生きたらいいのか、という戸惑いや、
いきなり自分で稼いで生きていかなきゃいけないけど、
奴隷だった家から追いだされても、おらぁどうすりゃいいんだと。
酒場でのんだくれたり、そこにたむろする酔っぱらいの為に、
卑猥な歌を歌って銭を投げてもらったりする中から、
あのブルースが生まれ、
黒人の葬式のドンチャン騒ぎの中から、
ブギウギが生まれたんだからね。
そして白人の最下層の、
いわゆるプアーホワイトだったエルビスプレスリーが、
労働仲間の黒人達がうたうブルースやロックンロールを真似して、
さらにお尻を振るのも真似してさ、ロックが生まれてきたわけで。
ロックの根源には
黒人達の御しがたい苦悩と怨念と、
その反動のぶっちぎれるエネルギーや、
はちゃめちゃな反骨があった。
それに比べればかなりぬるいけど、
地下芸人永野の怨念が
このくたびれ切って無力化する世の中で、
今弾けているというのかなぁー。
以下は私の感想。
戦後日本は生まれ変わりました。
信じられないほど豊かな国になりました。
しかし一方ではとても欺瞞的な国にもなりました。
上っ面ばかり擬装する文化が蔓延り、
金萬志向や民主主義の液状化や
事実を隠蔽することが平気で罷り通る世の中で、
なんだか訳の分からないコンプライアンスもが闊歩して、
本当は私達はとても息苦しいです。
更にこれを脱出する何かも、
見つからない閉塞です。
ここをなんとかして打ち破らないとねー。
だから永野氏が毒を吐き、本当のことを言ってくれるとスッとします。
それに芸人の本領は、
市民社会に充満する偽善のガスを抜く事であり、
それこそが、
河原乞食といわれながらも
社会に甘んじない芸人の原点ですから。
私達はテレビやこの擬装的安住に骨を抜かれた芸人ではない芸人の、
いわば鋼色の芸を見たいです。
その意味では、永野氏に頑張って貰いたいです。
今、世の中の底にどんどん沈澱するドス黒いヘドロを、
芸人の力を借りて
どんどんカタルシスして欲しいと
私は願います。

コメント