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◆岡本太郎からのメッセージ、根源的な幸せとは。

薬局で薬を調剤してもらっている間、待合室に座ってぼんやりテレビを見ていた。

テレビが報じていたのは、

大阪万博の時に建てられた岡本太郎の太陽の塔に関する番組で、

実は正直に言うと、

私は彼のこの塔の事を、

あまりにも凡庸だなぁと思っていた。

岡本太郎自身は、面白いし、明快な傑人でもあり、どちらかというと好感を持っている。

しかし太陽の塔はあまりにも、

まんますぎる。

アミニズムにしろシャーマニズムにしろ、古代人の意識そのままじゃないか、と。

しかしだからこそ、大衆に人気があるのかもしれないとも。

以前彼の画集を見た事がある。

それはたしかにパワフルでプリミティヴだった。

それらとは別に、彼のデッサンは

とても繊細で、私はこちらの方には惹かれた。

もう一人の岡本太郎がいると

惹かれた。

そんな事を思い出しながらぼんやりテレビをみていたのだが

司会者が岡本太郎の言葉を紹介した時、その意外性に、一瞬我が耳を疑った。

それは良い意味で我が耳を疑い、

衝撃が流れた。

岡本太郎は、自らその万博の象徴的塔を立てておきながも、

その万博で繰り広げられる近代的技術や、

科学技術や先進的商業施設は、

人間の未来の幸福とはなり得ない、と言っていたらしいのです。

つまり、技術の進化や豊穣な物質文化は人間を幸福にはしない。

そうではなく、人間はその根源的な幸福を見つけ出さなければならないと。

私はハッと突きつけられたように思いました。

人間の根源的な幸福って何なんだろうと。

その言葉は頭を離れず、夜寝るまで、考えても、考えても分かりませんでした。

そして、もしわたし自身だったらどうなんだろうと考えた時、浮かんだのは、

もし、自分が自我の桎梏から解放されたら、どんなに楽(幸福)であるか、と思いました。

その時ふと思い浮かんだのは、

もしかしたら、あの太陽の塔は、

古代人のおおらかない魂を表しているのではないか、と言うことです。

まさに私があの塔から感じるシャーマニズムやアミニズムこそ、 原初的人間の根源的魂の世界です。

それは近代人が無くしつつある、

自然で無為なる魂の世界でもあります。

岡本太郎が敢えて、

万博という最も近代的で、先進的なパフォーマンスの対極に

象徴的にあの塔を置いたとしたら、

凄い!

万博のど真ん中で、

人間の根源的な幸福は、物質でも高度技術でもないと、突きつけたのですから。

そして一方で、古代から未来までを貫徹する不動の普遍性としてある人間の根源たるものは何かと、

問いかけた。

岡本太郎の大きなスケール。

素晴らしい。

そして、今更ながら分かったように思いこんでいた私こそが、

ちっぽけな近代芸術に毒されていたと、

おおいに恥入りました。

金子春香さんの作品です。

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この記事を書いた人

作家。映画プロデューサー
書籍
「原色の女: もうひとつの『智恵子抄』」
「拝啓 宮澤賢治さま: 不安の中のあなたへ」
映画
「どこかに美しい村はないか~幻想の村遠野・児玉房子ガラス絵の世界より~」

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