冬と言えば良寛。
津々と降る雪に閉ざされた越後の国上山の小さな五合庵で
良寛は考える。
私も考える。
何にもいらない、何にもいらない。
ただ命があるのみ、ただ命が今続いているのみ。
良寛に教えられ、親鸞に愛され、空海のダイナミズムに驚き、
そして道元の一切が究めらる美しさも知った。
良寛の書は美しい。
まるで水の流れの様であり、いわゆる習字の止めが無いように見える。
つまり字の中に塊がないのである。
筆は初めから終わりへと、ひたすらに流れていく。
冬の長い夜を良寛は歌う。
冬夜長し 冬夜長し 冬の夜は長いな~。
冬夜悠々 何時か明けむ 冬の夜はいつ明けるのだろう
燈に焔無く 炉に炭無し 灯は消えてしまったし、囲炉裏の炭もなくなった。
只聞く 枕上夜雨の声 聞こえるのは枕元の雨の音ばかりよ。
(参考・良寛・詩歌と書の世界・谷川敏朗著)
そして良寛の中に宇宙がある。
藍色の川の先には天、すなわち宇宙がある。
看花至田面庵 訳 田面庵に花を看る。
桃花霞挟岸発 桃の花が岸を挟んで霞のように咲いている。
春江若藍接天流 春の川が藍色の帯のように天(宇宙)に向かうように流れている。
行看桃花随流去 浮かんでは流れて、桃の花が去ってゆく
故人家在東頭 亡くなったあの人の家はあの流れの先のほうにあったなあ。
(参考・良寛・詩歌と書の世界・谷川敏朗著)
あゝもう少し、
春が見えてくるまで、
頑張ろう!

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