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「空飛ぶ宮沢賢治」8「銀河鉄道の旅」の謎を解く!その1

あんなに苦しい思いをした賢治が、その後どうなったか、は

「銀河鉄道の旅」に書いてあります。

ありますが、それは大変難しく読み取りにくく、謎にみちています。

なぜなら、賢治自身が、もうそれを理解されても、されなくてもよい、という

心境で描いたからではないかと思います。

ただ、私はこれから、その謎を解いて書き、できたら電子書籍にしたいと

考えていますので、ここではおおざっぱに書きます。

しかし私も歳で、それを書きあげる気力と体力が続くかどうか心配ですが、

もし書きあげたら、ご興味のある方はどうぞお買いくださいますよう…笑。

それでは「銀河鉄道の旅」の謎を解きましょう。

この童話の主なテーマは三つあるように思います。

1,親友保坂嘉内への侘びと思いを伝える。

2,相対性理論を背景に、法華経と科学(化学)を止揚しようとする試み。

3,現実をみつめ生きようとする賢治の成熟。

まずは1から、

もう昨今では盛岡高等農林での親友<保坂嘉内>のことは

テレビでも放映され、ひろく知れ渡るようになりました。

嘉内は賢治にとってはある時期自分の思いや感性を理解し、

分かち合えた唯一の友です。

二人は純粋に情熱的にお互いを理解し、必要とし、そして

一時はまるで双生児の様でもありました。

しかし嘉内が高等農林を除籍されるという事件を巡ってから、

二人の間に微妙に齟齬が生じ始めました。

その原因は、すべてと言っていいくらいに賢治にあります。

その時、ほんとうに若気の至りとしかいいようのない

賢治がいました。

それは、嘉内へ対する態度と手紙による、

・嘉内への過剰介入。

その反動としての

・賢治の国柱会への傾倒と入信、さらに

・嘉内にたいする執拗な国柱会への勧誘です。

その結果、賢治と嘉内は上野の図書館で大喧嘩になり、

以来、賢治にとっては取返しのつかない悲しい別れになりました。

人間は残念なことに、多くの体験や経験、しかもたくさんの失敗と

挫折を経ねば、脳の前頭葉が成熟しないのですよ。

だから、この時、若い賢治が失敗するのも、当たり前のことであり、

賢治でなくとも、どんな若者も失敗するのです。

ただ、あまりに賢治の中の情熱、その反対の孤独、そして

誰にもありがちな、他者に対する憧憬と支配欲が激しすぎて、

賢治は嘉内に対して、

●やってはいけないことをやってしまいました。

その象徴的な言葉が「銀河鉄道の旅」の中にでてくるカンパネルラの

「おっかさんは、ぼくをゆるしてくださるだろうか」という

言葉です。

カンパネルラのモデルは確かに保坂嘉内であり、

なぜか唐突に出てくこの言葉は、嘉内ならすぐにピンとくるはずです。

お断りしておきますが、嘉内はそれをとっくに許していたと思いますが、

引っかかっているのは賢治のほうです。

何でもそうですが心の傷になるのは、

やってしまった方であり、

賢治は、その事も含め、ずっとのどにささっている小骨のように

嘉内とのことが賢治の深層心理を支配し、

なぜ、賢治が農学校をやめてお百姓になろうとしたかも含め、

賢治がさまよう原因になっていったと思います。

こういうことを、推理小説風に、

今から書き始めようと、私は思っているのですよ・・・苦笑!

この嘉内とのことは、作家菅原千恵子さんの力作

「宮澤賢治の青春」(角川文庫)があります。

同じ女性として誇りに思う菅原さんのこの本、

よかったら是非お読みください。

ただ残念なことに菅原さんは若くして亡くなられました。

私はこの方とだけは、生前にお会いしたかったので、

ほんとうに残念でなりません。

さて保坂嘉内のことについては、これから書きだそうと思っているので、

ここまでにしておきます。

人間の懊悩にある深層心理を軸に「銀河鉄道の旅」の謎を

解いていきたいと思いますが、

書けるかな~・・・???

まあ、頑張ってみます。

次回は2から謎にアプローチしていきたいと思います。

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この記事を書いた人

作家。映画プロデューサー
書籍
「原色の女: もうひとつの『智恵子抄』」
「拝啓 宮澤賢治さま: 不安の中のあなたへ」
映画
「どこかに美しい村はないか~幻想の村遠野・児玉房子ガラス絵の世界より~」

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