あんなに苦しい思いをした賢治が、その後どうなったか、は
「銀河鉄道の旅」に書いてあります。
ありますが、それは大変難しく読み取りにくく、謎にみちています。
なぜなら、賢治自身が、もうそれを理解されても、されなくてもよい、という
心境で描いたからではないかと思います。
ただ、私はこれから、その謎を解いて書き、できたら電子書籍にしたいと
考えていますので、ここではおおざっぱに書きます。
しかし私も歳で、それを書きあげる気力と体力が続くかどうか心配ですが、
もし書きあげたら、ご興味のある方はどうぞお買いくださいますよう…笑。
それでは「銀河鉄道の旅」の謎を解きましょう。
この童話の主なテーマは三つあるように思います。
1,親友保坂嘉内への侘びと思いを伝える。
2,相対性理論を背景に、法華経と科学(化学)を止揚しようとする試み。
3,現実をみつめ生きようとする賢治の成熟。
まずは1から、
もう昨今では盛岡高等農林での親友<保坂嘉内>のことは
テレビでも放映され、ひろく知れ渡るようになりました。
嘉内は賢治にとってはある時期自分の思いや感性を理解し、
分かち合えた唯一の友です。
二人は純粋に情熱的にお互いを理解し、必要とし、そして
一時はまるで双生児の様でもありました。
しかし嘉内が高等農林を除籍されるという事件を巡ってから、
二人の間に微妙に齟齬が生じ始めました。
その原因は、すべてと言っていいくらいに賢治にあります。
その時、ほんとうに若気の至りとしかいいようのない
賢治がいました。
それは、嘉内へ対する態度と手紙による、
・嘉内への過剰介入。
その反動としての
・賢治の国柱会への傾倒と入信、さらに
・嘉内にたいする執拗な国柱会への勧誘です。
その結果、賢治と嘉内は上野の図書館で大喧嘩になり、
以来、賢治にとっては取返しのつかない悲しい別れになりました。
人間は残念なことに、多くの体験や経験、しかもたくさんの失敗と
挫折を経ねば、脳の前頭葉が成熟しないのですよ。
だから、この時、若い賢治が失敗するのも、当たり前のことであり、
賢治でなくとも、どんな若者も失敗するのです。
ただ、あまりに賢治の中の情熱、その反対の孤独、そして
誰にもありがちな、他者に対する憧憬と支配欲が激しすぎて、
賢治は嘉内に対して、
●やってはいけないことをやってしまいました。
その象徴的な言葉が「銀河鉄道の旅」の中にでてくるカンパネルラの
「おっかさんは、ぼくをゆるしてくださるだろうか」という
言葉です。
カンパネルラのモデルは確かに保坂嘉内であり、
なぜか唐突に出てくこの言葉は、嘉内ならすぐにピンとくるはずです。
お断りしておきますが、嘉内はそれをとっくに許していたと思いますが、
引っかかっているのは賢治のほうです。
何でもそうですが心の傷になるのは、
やってしまった方であり、
賢治は、その事も含め、ずっとのどにささっている小骨のように
嘉内とのことが賢治の深層心理を支配し、
なぜ、賢治が農学校をやめてお百姓になろうとしたかも含め、
賢治がさまよう原因になっていったと思います。
こういうことを、推理小説風に、
今から書き始めようと、私は思っているのですよ・・・苦笑!
この嘉内とのことは、作家菅原千恵子さんの力作
「宮澤賢治の青春」(角川文庫)があります。
同じ女性として誇りに思う菅原さんのこの本、
よかったら是非お読みください。
ただ残念なことに菅原さんは若くして亡くなられました。
私はこの方とだけは、生前にお会いしたかったので、
ほんとうに残念でなりません。
さて保坂嘉内のことについては、これから書きだそうと思っているので、
ここまでにしておきます。
人間の懊悩にある深層心理を軸に「銀河鉄道の旅」の謎を
解いていきたいと思いますが、
書けるかな~・・・???
まあ、頑張ってみます。
次回は2から謎にアプローチしていきたいと思います。
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