映画「花のあとさき・ムツばあさんの歩いた道」を見てきましたが・・・。

昨日画家の香本博ご夫妻と一緒に川越スカラで、

映画「花のあとさき・ムツばあさんの歩いた道」を見てきましたが・・・・。

今日は書くぞ。歯に衣着せずに書くぞ…苦笑!

まずこの映画の主人公であるムツおばあちゃんは

人としてなんて素敵なんでしょう。

このお婆ちゃんのことを見れただけでも、感動でした。

が、そうはいかない。

この映画、構成から編集から音楽からしても、どうしてこうなるの、と

思いました。

いい素材なのに。

まず、●ナレーションがしゃべりすぎてウザイ。

ナレーションなんかなくてもいい、むしろない方が

観客の中に無言の何かが流れるでろうに・・・。

また、●テーマをが絞り込まれておらず、

あれこれと盛りだくさんにつめ込まれて散漫になっている。

テーマは、ムツばあちゃんの人生なのか、

それとも,限界集落と化した村なのか、

それともばあちゃんが田んぼの後に花木を植えて自然に返すその恩行なのか。

ばあちゃんを始めとした村人の群像を描きたいのか、

余りに詰め込み過ぎた結果、

最後はどんどん冗長になってしまった。

ラストもせめて、ムツばあちゃんが死んだときに打ち切ってくれればいいのに

もうだらだら延々と続くのに退屈して、

早く終わるようにと思いましたから。

また、

●音楽の使い方に統一感がなくピアノや管弦楽や他の楽器が

まるでパッチワークのように場面、場面に当てられていおり、

明らかにに観客の感情誘導の匂いがした。

そして最も驚いたのが、この作品がキネ旬の順位3位だということ。

自宅に帰ってキネ旬を調べたら、3位なんですよ。

確かにね、ムツばあちゃんは素敵でしたよ。でもね

ほんとにムツばあちゃんを生かした映画なのかねえ~。

なんか作り手の自己顕示とまではいかないが、

自己表現に使われている気がしないでもない。

映画は贈物だと私は考えていますから。

この映画を見ながら「山懐に囲まれて」の映画を思い出した。

「山懐に囲まれて」もいい映画でした。そして

この映画は室井滋さんのナレーションがキリリとして素敵だった。

さらに映画のテーマが<山地酪農>と厳しい自然の酪農をいとなむ家族であった事も

とても分かりやすかった。

ただ、二点だけ不満があります。

一つは音楽がちょっと意味が分からない気持ち悪さがありました。

そしてもう一点、これは大変重要なことです。

牛は、搾乳以外は牛舎にいれず、外で過ごさせるという原則を破って

雪の日に牛を牛舎にいれた息子とそれを叱る父親とのシーンが、

親子の葛藤というヒューマンドラマにすり替えられていたことです。

なぜ父親が怒ったかのそこにこそ

●<山地酪農>理論の原点があったはずなのです。

そして私の周囲のだれもが、なぜ父親がそこにこだわりるかの

理由を知りたいと思ったようです。

残念ながら、

作り手が●その重要さに気づかず、親子の葛藤にしたのはまさに、

日本のドキュメンタリー映画がずっと人間の不条理や葛藤という、

ドラマ性ばかりにシフトして作ってきたからだと思います。

日本のドキュメンタリー映画人が

無意識にそちらのほうへとシフトしたのではないかと思います。

つまり

映画の造りても審査員の頭も、ドキュメンタリー映画に対する

既成観念がそうなっているからだと

思います。

さらに、ドキュメンタリー映画は、老人にシフトするとそこには

どんな老人にもその人生の光陰があるため、

観客の感動を誘引しやすく、

ちょっとそれも安易かと思います。

今のドキュメンタリー映画界に必要なのは

ドキュメンタリー映画の●記録性や実写による映像の可能性や、

芸術性に対する開眼だと私は思います。

それを徹していけば、目にはみえなくとも

そこに人間のドラマが見えてくるのだと思いますが。

スカラ座ではロビーで香本さんの絵の展示をしています。

香本さんとファンの増田さんと私です。
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この記事を書いた人

作家。映画プロデューサー
書籍
「原色の女: もうひとつの『智恵子抄』」
「拝啓 宮澤賢治さま: 不安の中のあなたへ」
映画
「どこかに美しい村はないか~幻想の村遠野・児玉房子ガラス絵の世界より~」

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