野村先生の言葉にあるように,人間は個であるとともに群像(集団)で生きなければなりません。
それでも人間は、個々の存在が凄い。
個々の存在のその強烈な人生こそが素晴らしいのです。
個々のその脳の中で、苦労したことや、努力したそのドラマがこそが、
社会(集団)に反映され、、歴史を紡いてきたのです。
しかしAI時代においては
人間の個性や人生がとても貧弱になり、
知能や知性や感情もが短絡していくかもしれません。
なぜなら、脳の発達に重要な、その人間の
経験値や体験知や考察力が奪われる可能性があります。
反面、考えなくても
デジタルな回答がすぐ手に入り
時間をかけて考えるという
脳のアナログ性がディスカウントされるからです。
時間をかけて考えるという知力と知性が
どんどん後退していくかもしれないからです。
現に今、若い人の知的理解力や、読解力の低下や、
さらに大きな経済格差が生まれ、失業する人が増えていくことも否めないです。
実は私は、20数年前から、これからは脳の時代になるのではないかと思い、
手当たり次第に脳に関する本を読んで来ました。
今20数年を経て、やっと脳についての私なりの理解ができたところです…苦笑!
そして時代はとうとうAI時代に入りました。
確かにAIテクノロジーの世界は、
今までにはない、凄いことにもなると思いますが、
一方脳のことが、分かればわかるほど、
私の中には大きな危惧がうまれました。
いったい人間はどうなってゆくのかと。
そのためには、
●これまでの文化と文明の<総総括>が必要であると
私は考えます。
脳は、強烈に一人一人の個の世界を作り上げると同時に
集団で生きるために言葉を発明し、
個人と社会を、文化や経済でなんとか折り合いをつけながら
人間を生き延びさせてきました。
現代は、人間が生き延びてゆくために、
AI時代の利便性や生産性や利益率の高さが
優先されてゆくことが
一般の道理として受け入れられていますが、
脳の観点からいうと、それと交換に
人間の存在とその価値が薄められ、
つまり人間存在の意味や価値が希釈されかねないこと、
更には、知らないうちに人間自身が
●微妙に解体されてゆくかもしれない危機を、
私はAI時代に感じるのです。
(まあ、これも私の先走りかもしれないのですが。)
これからの時代は、
人間が、人々が、
脳の機能と本質を理解した上で、
脳の辺縁系(動物的本能の世界)がもたらす、
くだらない争いや対立を払拭した、
●新しい人間の生き方(文化)こそを
模索する必要があると思います。
さらに脳の機能世界に話を戻すと、
人間の脳は、その生命体(人)の危機やストレスがかかっている時こそ、
フルに活動していきます。
脳の本望は、危機に対する解(答)を出してゆくとことにあるからです。
それを私は「脳のアルゴリズム機能」と言っています。
これも私の独断でそう言っているのですが…苦笑!
脳が解を出してゆく時凄いのは
その人間のデーターベースにある遺伝的な記憶と、
その個体が学習した知識及び、
その特有の経験値や社会知による記憶を
●ゼロからたちあげ
高速回転しながら不連続に連続して、
高度に止揚していくことです。
AI時代はそういう、
ひとりひとりの脳の、優れた機能が退化したり、劣化する危機感を
私が感じてしまったのです。
そういう中で、児玉房子さんのガラス絵に出会いました。
その時、私自身でも、訳がわからないですが、
ここに描かれている人間の姿をなんとしても、AIの時代へとつなぎたい。
このアナログな文化をAIの時代に残しておかねば、と本気で思い詰めました。
脳のことが、分かればわかるほど、その思いは使命感のようになっていき、
それで能勢監督にお願いして映画にしていただきました。
その時、ガラス絵館が遠野にあり、現代文化に毒されていない
美しい遠野の田園風景と人々に出会えたことが
最上のラッキーでもありました。
●AIテクノロジーはそれが医学に貢献して、人間100年時代になるとも謳われています。
さらに個の文化世界や、精神世界が充実するという人たちもいますが、
それに対しても私はかなりいかがわしいものをかんじます。
逆に、人生はセレンディピティーの、人と人との出会い、
人と人の力が繋がりや、一緒に生きるている共生感が、
とても大事なのだと、この歳で痛感します。
この映画は、劇映画ではなく、ドキュメンタリーです。
つくりものではない、ほんとうの人間の姿が映されています。
時代が高速で過ぎてゆく中、
今撮っておかねば、チャンスを逸するかもしれないと思いました。
優しいカメラのまなざしで、人と人が繋がり生きることを、
美しい遠野の田園と人々を、
心が弾むRakiraさんの音楽と共に編集して、
能勢監督が映画にしてくださいました。
もしかしたらAI時代の真っただ中で
人間らしい生き方とはなにか、そして
文明と文化とはなにかを、再度
問いただす時、その時ぜひ
こんなに楽しく人々が働いていた時代があったのだと、見て貰えれば幸いです。
長くわかりにくい拙文を読んでくださり、
ほんとうにありがとうございました。
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