大いなる物理学者、益川俊英博士が亡くなられた。
ほんとに悲しいです。
しかし、何という偶然であろうか、実はこの数日私は立花隆著の「小林・益川理論の証明」という本を
読み返していたのである。
10数年前に読んだその本を、今まさに読み返していたのである。
私は益川先生、そして小林誠先生、さらに故南部陽一郎先生を、心より尊敬している。
なぜなら、このお三方こそ、宇宙及び人類の根源的なことを発見し、理論証明した、
最も偉大なる物理学者であり、日本の誇であるからです。
しかし残念なことに、日本が輩出した、世界的には高名なるこの三人の物理学者を、
日本人が、知らないのである。
南部先生は、ビッグバン以来の宇宙の対称性の破れめから、物質が生まれたことを発見し、
さらにそこから、物質の最小単位である素粒子、クオークが6種類あるという小林、益川理論が生まれた。
クオークは現在ではその6種類が発見され、
理論が証明されている。
私たち人間の存在は、まずはここから始まったのである。
なぜ、私が今、先生方の本を読み返しているか、というと、
私の最後の仕事として、
宇宙の物理現象の中でうまれた人間は、物質現象であり、
更にその事と合わせて、脳とは何かをわかりやすく、書いておきたいと思ったからです。
そして本当に残念ですが、
日本の大衆社会はまだ、ニュートン力学の固定観念の中にいる人が多すぎるからです。
あのオウム事件があったにも関わらず、
世の中やテレビではいまだにいかがわしいカルトや占いやオカルトやスピリチャルが跋扈しており、
その科学知識は、中学生の域を出ていません。
●はっきりと断っておきますが、カルトや占いやオカルトやスピリチャル(心霊科学)は
古代宗教や、伝統世界とは●まったくベツモノの世界です。
古代宗教や、伝統の世界は、日本人の心のふる里(遺伝子の世界)であり、
それを失うと日本人のアイデンティティーが崩れてしまいます。
その事は後日、伝統の「能楽」世界や、稲作の世界を通して書こうと思っています。
ただ、今は先端科学は著しく進化して、日常生活の隅々まで入り込んでいるにもかかわらず、
一方で、日本人の多くはまだ、科学を理解していないのです。
なぜなら、日本の中学、高校教育が、あまりにも大学受験の下請けに偏り、
本来の理科・科学をしっかり教えなかったからです。
そして一時は日本人の学者たちが世界の先端科学を牽引していたのにもかかわらず、
今はもう中国にさえ追い越されてしまっている。
なぜなら、日本政府は、税金をくだらないことに浪費しても、
科学の研究にお金を出すことを惜しんだからです。
政治家の脳がいかに古く遅れているか、なのです。
あゝ嘆いても仕方がありません。前回も書きましたが、
今私たちは、サイエンスとテクノロジーの世界を生きています。
おそらくテクノノロジーの世界を突き進むでしょう。
しかし科学テクノノロジーの世界には、人間にとってはマイナスなことも沢山あります。
だからこそ、科学を勉強し、熟知し、
ビックバン以来の宇宙史とこれまでの人類の進化の歴史とを視野に入れながら、
その高い知性の見識を以て、今の現実を厳しく検証する必要があると、
私は考えます。
もしよかったら、先般もご紹介した立花さんの本
・「東大講義・人間の現在」脳を鍛える 新潮社・サピエンスの未来
・伝説の東大講義 講談社現代新書を、お勧めします
。両方とも24年前に書かれた本ですが、
宇宙とはなにか、科学とは何か、人間の進化とはなにかを分かりやすく書いておられます。
こういう、文系と理系の●すべての分野を網羅、縦横して書いてある本はなかなか見つかりません。
益川先生のご冥福をお祈りいたします。
博士の功績に感謝します。先生、ありがとうございました。
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