我が尊敬のアンデルセンその6、文法学校での激しいいじめ!

14歳にオーデンセの田舎から一人でコペンハーゲンにでてきたアンデルセン少年。

たった一人で奮闘する中で、出会ったヨナス・コリーンこそ、

彼の生涯に渡っての後援者となりました。

そのヨナス・コリーンによって

ほとんど教育らしいものを身に付けていなかったアンデルセンは、

スラーエルセの文法学校でやっと

基礎教育を受けるのです。

そしてその様子をコリーンには手紙で報告することを

約束させられます。

ほら、あの「あしなが叔父さん」のジュディのようにです!

同級生はアンデルセンよりも6歳も下の少年たちです。

それに驚いたことにはアンデルセンは

ラテン語はほとんどわからず、幾何学は聞いたこともない!!

そして地理で、コペンハーゲンがどこにあるかすら

知らなかったと言います。

おそらく同級生から、たくさんの嘲笑や辱めを受けながらの

学校生活が始まりましたが、

一方ではたぶん人気もあったとおもいます。

なぜなら、アンデルセンの自伝では同級生からのそういうことは

あまり書かれていませんから。

ところが、この学校の校長というのが、もうおぞましい蛇のような男で、

アンデルセンを目の敵にしてイジメるのです。

背が低く太っており、禿げた丸顔にメガネをかけた校長マイスリングは

威張りくさり、

アンデルセンが文章を書くことをも禁じ、

やること、なすことに介入し、

アンデルセンをがんじがらめに縛りこんでいきます。

しかしアンデルセンも、

彼天性の自由さや奔放さを奪われながらも

それに粘り強く耐えていきます。

私はその底には、アンデルセンのバイセクシャル性が、

アンデルセンの女性性が、しぶとく彼を耐えさせたのではないかと

思います。

勿論彼のなよなよとした女性性がターゲットになったということも

有るでしょうが、今でいうオネエの柔軟さが、

彼を助けたのではないかと思います。

地獄のような学校生活を

半分鬱になりかかりながらも

アンデルセンは4年間の学校生活に耐えていきました。

ただ、この時にあんなにイジメられながらも

マイスリングがヘルシンオア文法学校へ赴任することになり、

その時一緒にアンデルセンもつれて行き、

さらに同じ宿舎に住むことを勧められると

なぜがそれを承知してしまうアンデルセンがいます。

マイスリングがアンデルセンが卒業するために、

苦手なラテン語を個人的教授してやる、という条件で、です。

こういうところを見るとアンデルセンのどこか鈍い面も見えてくるのです。

あのディケンズのところへ行き、ディケンズ夫妻が離婚寸前の険悪の中、

何か月も平気で居座ってしまう、アンデルセンの鈍さというか、図太さというか・・?

マイスリングはアンデルセンを宿舎に同居させて家賃をとり、

さらに子守をさせようという魂胆があったのです。

あんの錠、そこでは前にもまして執拗ないじめを受けるのです。

今度は、同じ宿舎に同居するのですから、

マイスリングだけではなく、彼の妻からも侮辱されます。

当然アンデルセンはコリーンにそのことを訴えますが。

ところがクセ者のマイスリングは、

反対にアンデルセンをほめそやした手紙を

コリーンに送るという、したたかな頭脳プレーをやっており、

コリーンはアンデルセンの窮地やSOSには応じません。

しかしアンデルセンの扱われかたのひどさに衝撃をうけた

同学校の教師がコリーンのところへ乗り込み

マイスリングのいじめを克明に報告しました。

それでやっとコリーンは文法学校からの退学をゆるし、

アンデルセンの残りの学習は、

コペンハーゲンで個人教師のもとで行うことを

許可したのです。

ただ、この時受けた傷は生涯アンデルセンのトラウマとなりました。

彼は、常に自分の作品の文法や綴りの間違いがないかに

終年、神経をとがらせます。

しかし一方ではマイスリングが反面教師となり、

感情に溺れて他者をはけ口にすることや、

いじめのその醜さや、

更に、知識や学識に偏った人格の異常さに気づき、

その対極にある理性や理知の尊さや

身分や階級性に関係なく、人間の理性の高邁さがアンデルセンの童話の中では語られます。

それが最も発揮されたのが「雪の女王」だと私は考えますが、いかがでしょう!

そしてコペンハーゲンに戻った約一年後、

23歳になったアンデルセンは

見事にコペンハーゲン大学の入学資格に合格しました。

これ以後、いよいよアンデルセンの童話の世界が開いていきます。

次回からはアンデルセンの童話の世界へと

入りたいと思います。

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この記事を書いた人

作家。映画プロデューサー
書籍
「原色の女: もうひとつの『智恵子抄』」
「拝啓 宮澤賢治さま: 不安の中のあなたへ」
映画
「どこかに美しい村はないか~幻想の村遠野・児玉房子ガラス絵の世界より~」

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